偏差値30の女子高生ギャルが猛烈に勉強し慶應義塾大学に受かるというテーマに加え、清純派女優の有村架純がミニスカ金髪ギャルになるということでも話題の映画『ビリギャル』!!!を”有村架純ファンでマッチョ”という幼なじみとともに観てきました。この映画を観る2日前に観た『セッション』が面白すぎてこのブログに書く文章がなかなかまとまらないので、まずはこっちの『ビリギャル』から書きたいと思います(セッションは次回!)
ご存知の方も多いかもしれませんが、こちらは原作は『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』という本になります。
例によってざっくりとしたあらすじを。
小学校のころから引っ込み思案だった主人公の女の子”さやか”が、これまでの人間関係がある程度引き継がれていく公立中学でなく、まったく新しい人間関係のある私立中学校にあがり、ある種、中学デビュー的なことがしやすい環境に入るところから物語は始まります。「ワクワクさせることだけをやってほしい」という家庭の教育方針もあったことから、さやかはワクワクすること=メイク・ファッション!だけをしまくった結果、高校生になった頃には濃いめのメイクに制服は極限までのミニスカ、髪は金髪で朝までクラブ通いという超絶遊び人の正真正銘のギャルになりました。 当然、ワクワクしないこと=勉強!のため勉強はまったくしてこなかったので、偏差値は超低空飛行、地面すれすれの状態。
そんな彼女はある日、あまりに勉強ができないため地元の小さな予備校の面接に連れて行かれ、そこで、坪田先生という素晴らしく前向きで情熱のある塾講師に出会います。この先生が、壊滅的に学力の低く、しかもまったくやる気のなかったさやか相手にも、ボジティブかつ本人にやる気を出させるように接してくれ、さやかもやる気になり、慶應義塾大学合格という目標を持つようになります。徐々に、けれども確実に本気に勉強に打ち込むようになるさやか。 途中、模試の結果が振るわなかったり、家庭が荒れたりしてやる気を失いかけますが、なんとか踏ん張り、見事慶應義塾大学に合格を果たすという、ギャルのサクセス物語(ストーリー)となっております!
では、この映画のいいところから。
まず、有村架純のギャル姿があげられます。
露出の多いセクシー系の服装、ギリギリのミニスカ制服姿、金髪に濃い目のメイク、この辺は有村ファンの方にはとてもハマるでしょう(ただ、後述しますが、この有村架純ギャルコスは諸刃の剣とも言えます!)
そして、続いてあげられる良かった点は、伊藤淳史演じる予備校講師の坪田先生です。
原作ではどういう人かは知りませんが、映画ではこの坪田先生は、底抜けの前向きポジティブキャラです。ただ、ONEPIECEで言うルフィやスラムダンクの桜木花道みたいな根底に「バカ」要素がある前向きポジティブではなく、予備校にくる生徒達をやる気にさせることを狙いとした上でのキャラクターなんですね。つまり計算した上で前向きポジティブを演じているんです。だから、単なるナチャラルボーンポジティブ人間よりも人間性に深みがあります。
ただ、普通は思春期の高校生なんかは、そういう「やる気にさせようとしてくる人」に対して嫌悪感を抱くと思うので、普通は反発しますよね。
でも、さやかを始めこの映画にでてくる、最初やる気のない生徒は、素直にやる気なります。
そこが最初は気になりました。いや、高校生は『慶応いって玉の輿だ~!』とか『親を見返してやろうぜ~!』とかで、こんな素直にやる気にならないでしょ!子供じゃないんだし!と思ってしまいました。
ところが、そこに対するエキスキューズとなるシーンが一応用意されているんです。つまり、高校生の彼女らは実際やる気になっているのだけれど、その理由が「先生の前向きポジティブ発言につられたから」という風を装っていることがわかるシーンがあるのです。
ここがいいところだなと。
つまり、単に先生の『慶応いけばおしゃれな奴たくさんいるぜ!』的なノリに純粋に感化されたのではなく、そういう風にいつも明るく自分たちを鼓舞してくれる先生の優しさや人柄に心を動かされやる気になったわけであり、決して本当におしゃれな奴に会いたいからやる気になったわけではない、というところがわかる様に作られているのです。
だから、「高校生がこんな、単純なおだてられ方でやる気になるわけないじゃん」みたいなツッコミはしっかり相殺してくれます。
あとは、「慶応合格を目指すこと」と「甲子園やプロ野球を目指すこと」がそれぞれ対比で描かれていたのが良かったです。
何を言いたいかというと、小さな頃からずっと野球をやっている主人公の弟が出てくるわけですが、彼は小学校からリトルリーグにいて、家ではお父さんがマンツーマンで指導してくれ、甲子園、ひいてはプロ野球選手を本気で目指してずっと野球に捧げ努力し続けてきたわけです。 ただ、この映画では結局、弟は甲子園常連校の高校にあがった段階で、自分がレギュラーには、はたまたプロになれるような器でないことを悟り野球を辞めます。
主人公さやかよりもずっと前から何年も何年も努力し続けてきた弟が結局は目標を叶えられなかった。
このエピソードがあることで、
努力すれば絶対に目標は叶う!なんて必ずでは無いんだよ?
ということを強く示してくれていると思います。 目標を実現するためには努力は必要だけど、努力しても叶わないことだってある、そういう残酷だけども確かな事実を示してくれていると思いました。
そして、必ず叶うとは限らないけれども、未来を信じて努力する姿は人を惹きつけ、そして実現した瞬間は輝くということも伝わってきます。
では、ここからイマイチだった点です。
まず、これはかなり大きな要因を占めていますが、有村架純が本物のギャルに見えない!!ということです。
清純派がギャルメイクに?!というインパクト狙いのキャスティングなのは理解できるのですが、狙い通りのインパクトがあるほど振り切ったギャルでないんですね。なんていうかコスプレ感が強いです。
また、偏差値が超低く、聖徳太子のことすら「しょうとく たこ」と読んでしまうという設定にしては、ほとばしるアホっぽさが足りないんです。ギャル感、アホ感ともに不十分な感じでした。
また、これも根本ですが、主人公が結構恵まれた環境にある点です。
主人公は中学から私立に通っており、夜も遊びまくるお金をもらっている(特にバイトしている気配がないため)、かつ何十万円もする予備校の週6日コースにも通わせてもらっていて、結構至れり尽くせりなんですよね。
しかも、驚くことに予備校と自宅学習で疲れているから学校の授業中は寝かせてやってくださいと、お母さんが先生に言うシーンもあるのですが、そうすると、もう本格的に甘やかされすぎな感じが出てきてしまいます。だって、授業中寝なきゃいけないほどの勉強が必要なのはこれまでサボってたからだろ!ってことですし。
なんか、「ここまで甘やかされてたら、逆に慶応落ちてたら怒るわ!」くらいのモードになる人もいるんではないかと思うくらい。 なんか、この甘えみたいなのに大した指摘が入らないのがちょっと気になりました。
また、これに関連してですが、この物語って何がすごいのか、というのをちゃんと考えてみると、偏差値の低かったギャルが慶応に合格したこと、ってなるわけですが、低い偏差値から努力して難関大学に受かる人って結構いますよね。
そうなると、ギャルが慶応に行ったっていう方が凄いことの理由なの?となるわけですが、ギャルで頭の良い人はたくさんいますし(というか偏差値高い高校の方が校則ゆるくて服装やメイクが派手だったりすることもある)、そもそも、ギャル=頭悪いってイメージも記号的というか、本当表層的なイメージだけで、本当はもっとギャル像って多様だよ!って思ってしまいます。
ただ、有村架純の可愛さは一見の価値ありですし、伊藤淳史もハマっていましたし、普通に面白くはありました。サンボマスターのエンディングも良かったですしね!
コメント