番外編『目覚めよと彼の呼ぶ声がする』 〜心が弱った時に読みたくなる本〜

本(books)
スポンサーリンク

このサイトは基本は映画のことを題材にしていますが、今回は番外編で本についてちょこっと書きます。しかも小説でなくてエッセイ。

石田衣良と言ったら、『池袋ウエストゲートパーク』(IWGP)の作者ということでご存じの方も多いと思います(デビュー作がIWGPっていうのがすごい)。

IWGPをはじめ石田衣良の作品はどれも読み易いです。文章が端的でわかりやすく、スッと頭に入ってくる。登場人物の心情表現やセリフもソリッド。切れている。だけども描写の方も瑞々しくしっかり表現されている(うーん、石田衣良のソリッドで瑞々しい文章を説明する私の言葉が瑞々しくないのが残念…)。
そんな石田衣良のエッセイは実はたくさん出ています。地下鉄の駅やコンビニの片隅に置いてあるフリーマガジン『R25』でエッセイを連載しているから、実は無料でも読もうと思えば読める。
石田衣良のエッセイと言えばこの『R25』での連載『空は、今日も、青いか?』をまとめた同名のエッセイ集『空は、今日も、青いか?』がおそらく一番ポピュラーでバランスがいいと思います。

生き方、仕事、恋愛、政治経済、スポート、映画、本、少年の頃の思い出、など題材も多方面に渡っていてどんどん読み進められる。まさに、ページをめくる指が止まらない、といった感じ(『空は~』は別名でVol2、Vol3と出ています)。

で、それと同じくらいバランスよく多ジャンルの話が載っているのが『目覚めよと彼の呼ぶ声がする』です。

『空は~』は基本的に『R25』に掲載されたエッセイで構成されているため、長さも均一で全体的に統一感がある作りになっていますが、『目覚めよと~』は各種新聞・雑誌といろいろな場所に掲載されエッセイ・コラムを集めてきた作品なのでひとつひとつの話の長さもバラバラになってます。

これがイイのです。雑多な感じで。

例えば、比較的長めの3~4ページくらいのエッセイだと、いろいろな考えや昔の思い出とかも盛り込みつつ書かれていたり、文庫本の半ページくらいで終わる新聞連載ののエッセイだと「まあ、とにかく気軽にいきましょ」的にこざっぱりと書かれてたりして。

で、どちらも共通して言えるのは、石田衣良イズムが伝わってくるということです。

石田衣良イズムというのは「当たり前のことにもちゃんと疑問を抱き考えるをやめない、けれども基本は軽やかにゆるく行く」

といった感じ(だと思います)・・・。

この部分はエッセイ内のどの話を読んでもブレがないです。

石田衣良のエッセイを読んでると、

考え方や生き方はひとつじゃないし、一般論や常識なんて当てにならない。

どんなことも自分で考えて導き出したものじゃなければ、使い物にならない、

そんなことを感じさせてくれます。

「会社」や「学校」、もっと言ってしまえば「世の中」といった”集団”の中で生きている私たち。

その中のルールに合わせることに疲れてしまった時や、納得のいかないことがあった時、そういう時こそこの本を読んでみると、少し救われるかもしれません。

本(books)
スポンサーリンク
フォローする
ざっくり映画メモ

コメント