この映画はストーリーラインを書いていくというよりは、役者陣がすごかったのでそこを主に触れようと思います!
でも、どうしても触れずにはいられないで、冒頭シーンは触れさせてください!
長澤まさみが裸でベットに寝ているシーンから始まるのは、少しびっくりしました。
そして情景は鎌倉の曇り空からなんですね。
でも鎌倉といえば海があるイメージがあるじゃないですか。
近くに海がない街で育った人間からすると、海といえば夏!太陽!暑い!と条件反射的に連想してしまうので、曇り空の鎌倉を見た時は逆にリアルに感じました。あ、実際には鎌倉にもこういう顔はあるよな、という感じで。まだ早い時間の朝方の鎌倉の海沿い。潮風の匂いが香ってきそうなシーンでした。
この映画は、鎌倉に住んでいる3姉妹が、腹違いの妹(4女)と出会い一緒に住んで家族になっていく話です。
3姉妹の長女を綾瀬はるか、次女を長澤まさみ、3女を夏帆、そして4女を広瀬すずが演じています。
まず、日本のトップ女優の綾瀬はるかと長澤まさみっていう2人が姉妹役で出ていて、さらに若手実力派(この表現は陳腐だが)の夏帆と今が旬の広瀬すずが出てる時点で、当たり前ですが画面が豪華!
そして、普通に主役を張れる4人が同じ画面に映っていることが新鮮!
この点だけでもまず観ていて飽きないです(話の作りとか関係ないポイントだけど)。
そして、演技の方もよかったんですよねこれが。
まず、よかったのは長澤まさみです。
次女ヨシノは姉妹の中では比較的自由奔放で、一見するとダメ男に入れこんで必要以上に尽くしちゃうちょっとアホっぽい女性でもあるんすが、実際はその手のタイプとはちょっと違うんです。
彼女は実は人の気持ちをすごく考えられる人間で、つまり、全体を客観視できる人間なんです。
「この人がこう言えば、言われたあの人は傷つくだろうな」
「こういうシチュエーションになれば、この人とあの人はぶつかるだろう」
そういうのがちゃんとわかって、他人の気持ちをケアしてあげられる人なんですね。
客観視できるから、実は自分がけっこうダメ男にハマっていることも自覚してるわけです。だから恋が終わると「これからは仕事だ!」と意外と切り替えが早かったりもする。
そういう、次女ヨシノという女性を長澤まさみがリアルに創り出してました。
また、長女の綾瀬はるかもよかったです。
綾瀬はるかのあの大根演技なのか無垢な感じなのか判断がつけられない雰囲気が完全にプラスに働いてました。
両親がいない家庭で、長女という責任感のもと妹2人を自らが親代わりに育ててきたわけなので当然しっかりしているんですが、同時にちょっと不器用に映るほど生真面目な気質もある女性。そういうタイプにはやっぱり純粋で無垢っぽいイメージが合うわけです。
そういう意味で、綾瀬はるかの持ち前の雰囲気がかなりフィットしていました。
三女役の夏帆は広瀬すずがくるまでは末っ子という立ち位置だったので、その感じがちゃんとでてましたね。
僕も上に姉が2人がいる3人姉弟の末っ子なんですが、映画の中で姉2人が喧嘩してるシーンで夏帆演じる三女が動じずに「ほうっておけば解決するから」って言うシーンなんかは共感できました。
実は何か騒動があっても一番動じなかったりするのが末っ子だったりします。
あと最後に特別な存在感の四女役の広瀬すず。
彼女は演技がうまいとかそういう問題じゃなくて、彼女の存在自体が作品に絶対不可欠なもの、という感じでした。
複雑な家庭環境に育ったまだ中学生の子が、別の家庭に入り、そこの家族になっていく。
当然、苦悩や葛藤や戸惑いを抱えているわけです。そうした悩みに対する何かしらの回答を見つけていく姿は、役柄としてだけでなく現実世界での女優 広瀬すずという人間の成長に重なって見え、非常にリアリティがありました。
観ていると日常の温かいシーンずっと続いていくので、下手すると退屈しそうな内容なのにそう感じなかったのはやっぱりキャストの求心力があったからだと思います。
思わず、この街を、この家族を、ずっと観ていたいと思うような世界観。
悪い人がでてこなさすぎ、と思うかもしれませんが、いい人っぽいけど見かたを変えれば酷いことしてない?って人もいるので、意外とバランスいいと思いました!
あ、あと、この映画を観てて、人は必ず道徳的に正しくなくてはならないのか?ということを考えさせられました。
必ず道徳的に正しくなくてはならない、とは思いませんが、自分の行為のせいで傷つく人や、自らの存在を否定的に思ってしまう人が出てきてしまう様なことはしてはいけない、避けるべきだ、と思いました。
そういう意味で、父親と母の不倫によって自らの存在を肯定しきれずにいたすずが3姉妹に会い、自分の存在を肯定するようになって本当によかった!泣
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