『バケモノの子』〜細田守監督最新作!熊徹と九太の親子愛と師弟愛の物語〜

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前回の記事で復習として過去作『時をかける少女』の振り返りを行いましたが、先週末ついに観てきました『バケモノの子』。
これ、当初たまたま読んだ映画評が「イマイチでした」みたいな書き方をしていたのでちょっと不安だったのですが、なんてこはない、とっても面白かったです。

まずこの作品、『バケモノの子』という名前や熊徹と九太が並んでいるポスターの見た目から”種族を超えた親子愛”の様な物語を連想しがちですが、それとは少し違っていました。
“親子愛”という要素ももちろんあるのですが、それだけでなく”師弟愛”の要素もかなり強かったです(実際にストーリー上も熊徹と九太は親子というより師弟関係にあたりますし)。
ただ、一般的な師弟関係と違い弟子の九太は師匠の熊徹にガンガンモノを言います。この感じがちょっと生意気でやんちゃな子供と、その子供の子育てに四苦八苦している親父、みたいな感じで親子感が感じられるんですよね。

そういった意味では、この熊徹と九太の関係性は師弟であり親子でもあるハイブリッドタイプなのかもしれません(師弟で親子と言えば、ちょっとスラムダンクの沢北栄治とその親父の関係性にどことなく似ている気もします。ただ沢北の親父は熊徹とだいぶキャラが違うが…)。

バケモノである熊徹と人間である九太、師匠と弟子、親と子、こうした2人のなんとも分類しがたい関係性がこの映画のポイントの一つですが、注目すべき点はそれだけはないです。

先ほど師弟愛の要素が強いと言ったくらいですので修行シーンは注目です。
特に序盤の九太の成長シーンは面白い!
熊徹の弟子となり、最初は熊徹とぶつかってばかりの九太。当初は2人の相性はよくなかったのですが、一緒に飯を食い、様々な修行を行い、旅をすることで2人は徐々に分かち合っていきます。

  

九太が掃除洗濯炊事をこなし一人前の弟子になっていくシーン、そしてだんだんと強くなっていくシーンはテンポがよくていい感じです。設定がちょっとベストキッド的でワクワクしました!

そして一気に8年近い時が流れ、17歳になって体つきや声が成長した九太が登場するわけですが、そこまででちょうど一時間くらい。

実はこのあたりで、ちょっと物語展開に不安を覚えました。

「ここまで確かに楽しいけど、ぶつかってばかりの熊徹と九太が修行を通して打ち解けていくストーリーがさらにもう1時間続くのはちょっと飽きるんだけど!」と思い始めていたからです。

ただ、細田監督は僕の様な映画素人の予想など見事に裏切ってくれました。
この熊徹と九太の修行編は一時間で終わり、次の一時間は「17歳になった九太の恋」と「九太が外の世界を知っていく話」「大敵との対決」と盛りだくさんな内容で構成されています。

  

これによってそろそろ修行展開に飽きそうになっていた僕は完全にリフレッシュしました。もちろん後半戦もめっちゃ面白かったです。

話の構成はこの辺にして、ここからはちょっと視点を変えて声優陣について言及したいと思います。

この映画は声優が役者ばっかりなのですが、全部よかったです!!

まず熊徹役の役所広司。すごいうまかったです!熊徹というキャラクターに完全に命が吹きこれていました!

  

そして熊徹の昔からの友達、多々良(たたら)という猿顔のバケモノを演じた大泉洋!もはや多々良というより大泉洋そのものなのですが、これがめっちゃいい。 

 

熊徹、九太、多々良、百秋坊(修行僧)という4人で旅するシーンがあるのですが、こういうチームものの時には大泉洋がいれば間違いないw!!

あと、百秋坊という豚の修行僧のバケモノ役を演じたリリー・フランキーもよかったです。ただ、あの声を聞くと修行僧であろうとなんだろうと全部エロく聞こえてしまいましたが…。 

 

そして忘れてはいけないのが楓役の広瀬すずでしょう!!

 

別に上手い感じではないんですけど『海街diary』の時と同様、最強のみずみずしさ、フレッシュ感で楓という子の不器用で真っ直ぐな感じが伝わってきました。

あ、もちろん九太もよかったです(特に宮崎あおいが)! 

 

声優陣のお話はこの辺にして、ちょっと気になったところも。

クライマックスがああなるなら、もう少し熊徹と九太の思い出というか絆を多く描くべきだったんでは?という気がしないでもありません。映画で描かれている部分だけ見ると2人の絆が少し浅い気がしました。

なので、ラストシーンでの感動がMAXまで盛り上がらないというか…。
序盤にもう少し2人の絆が深まるシーンが描かれていれば、ラストがより盛り上がった様な気がします。
そして、「心のなかの剣」というワードがでてくるのですが、それもちょっととってつけた感があった様な…。

まあ、僕のような映画素人の言うことなんて間違いだらけなので、作り手側にはきっと意図していることがあるのかもしれませんが…。

とにかく全体的に見ると、設定、ストーリー、バケモノの世界観、声優陣、と様々な観点から個人的にかなり面白かったですし、とても好きな作品です!

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