面白い映画がどんどんスクリーンにかかっている今日このごろではありますが、今回は本ネタで。
今回扱う作品は池袋ウエストゲートパークの11作目『憎悪のパレード』です。
この本は今からちょうど一年前の2014年7月に発売された本なので、発売当時一度読んではいたのですが、今回再読してみました。
いやあ、このシリーズは本当に扱っているネタが現代に即していますね。いや、”現代”という言葉では不十分なくらい”最新”な内容です。
本シリーズはどれも主人公のトラブルシューター”果物屋のマコト”が活躍する4つの短編が一冊に入っているのですが、今回の4つの短編のネタは
・脱法ハーブ
・ギャンブル依存症
・ノマドワーカー
・ヘイトスピーチ
というもの。どのネタも新聞やネットニュースでここのところ(もしくは少し前)に見たことがあるものばかりですよね。
池袋ウエストゲートパークの過去シリーズも時事ネタを扱っているのですが、今回の『憎悪のパレード』が一番の”世の中の今”に即しているかもしれません。
作者の石田衣良は、幼少時から一日に数冊ペースで本を読んでいただけでなく、学生時代やフリーター時代にも新聞を2紙を毎日隅々まで読んでいたらしいのですが、そういうわけでか池袋ウエストゲートパークシリーズは、経済、政治、国際、企業、殺人、暴行、レイプ、薬物、暴力、ITなど扱うテーマが実に様々で幅広いです。
全シリーズ読んでいると気づきますが、まるで新聞に載っている出来事を、読者がストリートで経験している様に錯覚させてくれる様な作りなんですよね。世の中を小説というリアルじゃないものでリアルに感じさせてくれるんです。
そういった意味では新聞を読むより、よりわかりやすく時事ネタを学べるかもしれません。
先述の通り『憎悪のパレード』11作目で主人公のマコトも20代後半になっていて、池袋ウエストゲートパークのドラマ版を中学生や高校生で見ていたリアルタイム世代と同じ歳のとり方をしているんではないでしょうか。ドラマ版は見ていたけど小説は読んでいないという人は、『憎悪のパレード』から読んでみてもいいかもしれませんよ(でもやっぱり一作目『池袋ウエストゲートパーク』の初めて読んだときのガツンとやられる感を味わってほしいですけどね)
今回、少し大人になったマコトは少し大人な目線からトラブルを捉えます。だからなのか、前ほど無茶をするわけではなく淡々とトラブルを解決していくので、過去シリーズのバイオレンスでハードめな展開が好きなファンからすると今回はさほどテンションが上がらないという意見も読書レビューサイトなどを覗くといらっしゃいますが、でもまあ、マコトをはじめとする登場人物たちの年齢にあった温度感ということで、逆にリアルなのかなという気もします。
個人的にはまだまだ続いてほしいシリーズなので、続編にも期待しています!ぜひぜひご賞味あれ。
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