先週の金曜、仕事終わりに映画館へ出向き売店でビールとポップコーンを買い観てきました。
普段、映画中はお酒は飲みませんが今回は”ロマンスカー”に乗って箱根まで行く内容ですから、その世界にどっぷりハマるために、ロマンスカーに乗ってポップコーンつまみにお酒を飲んでいる気分で鑑賞させてもらいました。
金曜の夜の解放感あふれる気分も手伝って、とてもいい心地で観られました…(こうして書いてる今は月曜日なので気分の落差に驚いております…)。
映画の内容をさらっと。
ロマンカーの車内販売員として働くハチ子(大島優子)は、販売成績は常にトップクラスで、狭い社内でも手慣れた手つきでコーヒーを入れ、同僚のミスで起きたクレームにも難なく対応するしっかり者だ。
だが、プライベートではヒモ系の彼氏がいたり不仲な母親とは10年近くも会ってなかったりと結構モヤモヤしている。
そんなハチ子が、ひょんなことから乗客であった自称映画プロヂューサーの桜庭と箱根に取り残されてしまう。とあるきっかけでハチ子と桜庭は箱根の名所を車で巡りながらある人を探すことになる。
一日だけの箱根旅。その様子をコミカルだけど決してハイテンションではなくふわりと描いた作品。
「大島優子、演技うまいなー」というのは今や結構有名な話ですが、今回の映画を観てさらに思ったのは「特に日常での演技がうまいなー」ということです(偉そうにすみません)。
例えば冒頭の出社シーン。ロッカールームで同僚と話すやりとりが本当に自然です。まるで自分もそこにいるかの様な感じというか(更衣室にいちゃまずいだろ)。
このシーンを観ていて私は『紙の月』のロッカールームシーンを思い出しました。あのシーンの大島優子も「自然な小悪魔系女子社員演技というか、こういう銀行窓口の人いそう」と強く思わせてくれた納得度の高い演技でした。私は大島優子を会社のロッカールームに入れたら最強説を唱えます(なにそれ)。
そして、映画中に誰よりも笑いをとっていた相手役の桜庭を演じる大倉孝二。
胡散臭いおじさん役ですが、もう胡散臭さ、ダメ人間感がとてもよかった。
いい奴なんだか悪い奴なんだかがちょっとわからない、そんなキャラクターです。
そして大島優子との掛け合いは確かに面白い。大倉孝二の台詞回しや皮肉っぽく曲げた唇などが笑いを誘います。笑
また、大島優子のまだ若いけど、でも、キャピついてるほど子供でもない、中間の年齢である26歳という立場から繰り出される冷淡なツッコミもよかったすね~。
大島優子に真顔でツッコまれたい、キレられたい願望のある方は必見ではないでしょうか(私はあります)。
最後の最後のラストカット。
冒頭と同じ様にロマンスカー車内で接客をしているんですが、その時の声のトーンや笑顔が冒頭のそれより明るく感じられました。
冒頭の接客シーンも感じ良く接客しているんですが、どこか営業的な感じの良さが漂っています。でも、ラストシーンのハチ子の接客は本当に感じよく見えました。なにか吹っ切れたというか、憑き物が落ちたというか、そんな感じのカラッとした明るさなんです。
ハチ子は仕事はばっちりこなすけど、私生活はいろいろモヤモヤしていた。
でも、桜庭との箱根旅でそのモヤモヤを見つめ直すことになりどこか吹っ切れられたんだと思います。だからこそ、ラストカットはあの人にあんなにもからりと明るく声を掛けられた。
別にドラマチックでも感動的でなくても、
友人でも恋人でも家族でなくても、
人との出会いというのは、ちょっとだけ人を前向きにしてくれるときがある、ちょっとだけ心をすっきりさせてくれることがある。
そんな風に思えた映画でした。
まだまだ間に合いますので、せひともご鑑賞あれ!
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