『ナイトクローラー』~エンド・オブ・ウォッチのあの警官がパパラッチに?!~

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8月22日から公開されていたのでもうそろそろ終わりそうですが、ぎりぎりまだ公開中の『ナイトクローラー』です。

この作品は一言で説明すると「こそ泥の主人公がフリーの”事故現場パパラッチ”になって成り上がる」という話。


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野心と頑張りと運で主人公が成り上がる様を描いており正真正銘のサクセス・ストーリーではあるんですが、そう聞いて一般的にイメージする様なものとはちょっと違います。

何が違うかというと、まずテーマとなる”事故現場パパラッチ”という職業。これが結構エグい。いや、テレビ局などの一部報道機関からはもう超絶的に必要とされている仕事ではあるのですが、事故直後で大怪我している人を前にして怪我人を助けるわけでもなければ救急車を呼ぶわけでもなく、ただひたすらカメラを回し撮り続けるという、見ようによっては「ちょっと人としてどうなの」と思ってしまう感じの仕事なんです(あくまで主人公の仕事っぷりから見る限りあって、「実際の事故現場パパラッチがそういう仕事だ」と言ってるわけではありません)
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普通のサクセス・ストーリーと違う点としてあげられるもうひとつのポイントは、主人公のキャラ。そもそも最初はケチなこそ泥。しかも、卑怯で小物っぽいこそ泥です。こういう場合って普通、サクセスしていく途中でこそ泥時代の過ちを後悔したり反省したりしながら、人間性も成長していくじゃないですか。しかし、本作の主人公はそれが全くありません。とにかく”変わらない”。こそ泥時代からのずうずうしさはずっとそのまま。自分のやった悪いこと(冒頭の警備員殴ったこととか)とかも全然反省しない。事故現場パパラッチになってからも、事故現場や殺人現場をただひたすら撮る自分に対し葛藤などもしない。とにかくこの男、自分のスタイルが確立しており、繰り返しになるが徹頭徹尾、一貫して”変わらない”のです。

逆にここにこの映画の伝えたいことがあるのかもしれません。

つまり、コレと決めたこと(今回はパパラッチという仕事)を自分にも他人にもシビアな姿勢で実行していく。余計なことはしないでただやるだけというまさにjust do it な精神。そういう意味では淡々とやるべきことをこなして結果を出していくアスリートにも通ずるストイックさが主人公にはあります。

僕はこの映画を見ていて興味深いシーンや「うわ~ほんとひどいなこいつっ!」と言いたくなるシーンがたくさんあるのですが、全体を通して見ると主人公のこの徹底した姿勢こそが一番印象に残っています。
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前にスティーブ・ジョブズの伝記的な映画をサラッと早送りで見た時に「ビジネスで成功する人ってちょっと他人に冷たい気がする…」的な感想を持ちましたが、この映画はそれを確信的にしてくれました。

この映画を観る前に読んだ誰かのレビューで「起業家希望の人こそこの映画を見ろ」みたいなこと書いてあったけど、観ながら超納得しましたよ。

観終わった後にいい気分にはならないけど、なぜかちょっとスカッと感はある映画ですし、なにより絵的な雰囲気もあって話も面白いです。

そろそろ上映が終わっちゃうと思うので、まだ未見の方は是非劇場で!

あ、『エンド・オブ・ウォッチ』のジェイク・ジレンホールが主人公役ですが、あの時の警官を演じた人と同一人物なのか?!と思うほど醸し出す雰囲気が違っていて、そこも観ていて面白いです!
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