『スリーパーズ』の所感
かなり豪華な俳優陣が出演している(だけど主役は子役の)『スリーパーズ』を観ました。
復讐と友情の物語、な映画です。
子供時代を一緒に過ごした仲間同士の復讐劇ですが、『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』のような軽快なノリとはまったく違ってこちらは重めです。
復讐モノは大好きですが、「復讐」についての描かれ方は作品によってさまざま。そして「復讐」そのものをどう捉えるか、観ている側も試されている気がしました。
『スリーパーズ』のあらすじ
少年院で虐待を受けた若者たちによる復讐劇を、ロバート・デ・ニーロ、ブラッド・ピット等豪華キャストで描く社会派ドラマ。ちょっとした悪ふざけが大事故を引き起こしていまい、少年院に送られることとなった4人の少年。彼らを待ち受けていたのは、看守たちから暴力と性的虐待を受け続ける地獄のような毎日だった。心に傷を負ったまま大人になり、それぞれの道へ進んだ彼らは、ある事件をきっかけに看守たちへの復讐に乗り出す。映画.comより
『スリーパーズ』のキャスト・スタッフ
キャスト
- 監督バリー・レビンソン
- 製作総指揮ピーター・ジュリアーノ
- 製作スティーブ・ゴリン
- バリー・レビンソン
- 原作ロレンツォ・カルカテラ
キャスト
- ケビン・ベーコン
- ブラッド・ピット
- ビリー・クラダップ
- ミニー・ドライバー
- ロン・エルダード
『スリーパーズ』の感想
物語は大きく3つからできてます。どのパートも映画の雰囲気がガラリと変わります。
第一幕は「ジュブナイルもの」
主人公4人の少年時代の日々が、自分たちの生まれ育った町「ヘルズキッチン」の当時のシビアな状況、それによる家庭環境の厳しさなどを踏まえて描かれていきます。
この第一幕を観ていて感じたのは、親や街の人たちはみんなイライラしていたり、辛そうにしてるけど、彼ら4人はにはキラキラして見える、ということ。彼らには「若さ」という「(期間限定の)希望」があるんですよね。
第二幕は「少年院での地獄の日々」
第二幕は少年院の中での話。看守たちによる暴行や性的虐待といった、とにかく地獄の日々が描かれます。看守のリーダー格を演じた「ケヴィン・ベーコン」がかなり印象的。もう本当に「クズめ!( ゚д゚)、ペッ」という感じでした。
軽いノリでいたずらをした結果、大惨事を招き少年院に入ることになり、これまでの無邪気な少年時代を強制的に終わらせてしまった彼ら。
看守のケヴィン・ベーコンに、床に落ちたご飯を這いつくばって無理やり食べさせられるシーンでは、「外の世界にいた時に彼らが謳歌していた「若さ」という「(期間限定の)希望」、その期間がまさに今、終了してしまった…」と感じずにはいられませんでした。
少年院時代の話がけっこう長い時間を使って描かれるため、ここでの日々が彼らの人生に決定的な心の傷を与えた、というのが観ている側に強く残ります。
第三幕は「大人になった彼らの復讐劇」
最終幕は、少年達が大人になってから復讐パート。最初は、バイオレンスなシーンを予想してましたが意外にも「法廷劇」が中心です。
ちなみに、4人の少年のうち検事になったマイケル役を若かりし頃の「ブラット・ピット」が演じていますが、エグいほどイケメンです。
復讐の描き方
復讐って実行する際に、良心との葛藤が付いて回るのがお約束ですが、私には今回のスリーパーズの彼らに葛藤や迷いといった類の感情は無いように見えました。復讐のきっかけこそ”たまたまの出会い”でしたが、いざ復讐が始まった彼らには強い意志を感じます。
ただ、復讐を終えた後の彼ら(厳密にはシェイクスとマイケル)には、やりきった達成感だけでなく、それでも残る”暗い何か”を感じました。ブラットピット演じる検事のマイケルの「これからは過去を見ずに静かに暮らしたい」というセリフがそれを象徴しているように思います。
ラストの大人になった彼らが集まって乾杯をするシーンも感動的に描かれていますが、私には「復讐をやり遂げねば、みなで集まりこうして笑いあえなかった」という事実がせつなく映るシーンでした。
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