『暁に祈れ』〜地獄の刑務所描写〜

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『暁に祈れ』の好き度

『暁に祈れ』を観てきました。刑務所シーンが7〜8割、あとは試合シーンといった感じなんですが、とにかく刑務所シーンがリアルでリアルで、ビビりました。

地獄と言われた刑務所の中を疑似体験をできた、それだけで「観る価値はあったな」と思えた映画でした。

全体的に説明的なシーンはなく、セリフもかなり少なめ。それなのにストーリーはしっかり掴めます。でも、「やや単調」「試合シーンが少ない」と思う所もちょっとあるかもしれません。

有楽町のヒューマントラストシネマで観てきました。

空腹で観てしまい、お腹がけっこうな爆音で鳴ってしまいましたよ(´∀` ;)スミマセン

『暁に祈れ』のスタッフ・キャスト

スタッフ

  • 監督/ジャン=ステファーヌ・ソベール
  • 製作/ニコラス・サイモン/ロイ・ボウルター/ソロン・パパドプーロス/リタ・ダゲール

キャスト

  • ジョー・コール/ビリー・ムーア
  • ポンチャノック・マブラン/フェイム
  • ビタヤ・パンスリンガム/フリーチャー所長
  • ソムラック・カムシン/スティン
  • パンヤ・イムアンパイ/ゲン

『暁に祈れ』のあらすじ

イギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝小説が原作のドラマ。タイの刑務所に送り込まれた男が、所内でムエタイを習得して過酷な環境を生き抜く。メガホンを取るのは『ジョニー・マッド・ドッグ』などのジャン=ステファーヌ・ソヴェール。『きみへの距離、1万キロ』などのジョー・コールが主人公を演じ、その脇を『オンリー・ゴッド』などのヴィタヤ・パンスリンガムやボクサーのソムラック・カムシンらが固める。数か月のトレーニングを積んだジョーが屈強な肉体を披露する。シネマトゥデイより

『暁に祈れ』の感想

刑務所描写がキツイ・エグい

タイの刑務所描写がかなりキツかったです(;゚д゚)ゴクリ…地獄と言われた刑務所、偽りないっすね。

今回の『暁に祈れ』の囚人さん、なんと本物の元囚人だそうで。しかも撮影も本物の刑務所らしいです。てことは、実際のタイの刑務所の状況は全く知りませんが、かなりリアルに表現されていると思っていいんでしょうな…。ぱっと見はドキュメンタリーのように見えたくらいなので。

そもそもこの映画は実話をベースにされているということですので、監督が本物志向にこだわたっそうな(この辺は「THE RIVER」というサイトの監督インタビューで詳しく載っています)。

ここの刑務所のキツい部分はたくさんあるんですが、まず思ったのが監房1部屋あたりの収容人数の多さ。30人〜40人くらいが15畳くらいの部屋に雑魚寝してるんです。気をぬくと足を踏んづけられるレベル。

あとは、徹底した弱肉強食っぷり。特に細身の男性を集団でレイプするシーンは本当にキツかったです。シーン自体もかなり長いし、しっかり見せてきます。しかも翌日になって被害者の男性がなんとみんなが雑魚寝してる監房で首を吊って自殺してるのに、誰も何事でもないように普通に点呼し始める所は本当に嫌な気分になりました。

こういうシーンを観てると、自分がもしこの状況に入ってしまったらどうなるんだろう…と考えてしまうのですが、ラーメン屋の隣に怖そうなお兄さんが座ってるだけでビビるレベルの自分には全く生きていける自信が出なかったです(´ヘ`;)ウーム…。

世の中には、ほんの一握りの甘さですら持っていたら食われてしまう、どこまでも鬼にならないと生きていけないような環境があるんだな、と思い知りましたよ…。

セリフほぼ無し・字幕も無し

あと、なんといっても、この映画にはほとんどセリフが無い、という点は触れないといけませんね。いや正確には囚人の人達がしゃべりかけてくる(それでも全体的にセリフは少ない)けど、タイ語で、その字幕がないので、何を話してるのかまったくわからないんです。ただし、それは主人公のビリーも同じ。要はこの地獄の監獄で右も左も分からず、誰が何を喋ってるかもわからない、という絶望的な状況を観ている側も体感できるわけです。

また、セリフがほぼ無いというのは、登場人物が今なにを考えているか、こちらで想像する余地があり、それがまた鑑賞中の集中力を上げてくれるという効果もありました。

ちなみに、ストーリーに関わるセリフには字幕がつきます。

ムエタイシーンはちゃんと”痛そう”

試合シーンはちゃんと痛そうでした。ムエタイってエルボーオッケーなんですね、知らなかった。

エルボーとか、相手がマットに落ちた時に食らわす蹴りとか、派手な音はしないんですけど、ゴッ!とかベヂ!とか鈍めの嫌な音がして、素で顔が引きつりましたよ。

トレーニングシーンや試合シーンもほぼセリフがないので、もう本当にドキュメンタリーにしか見えなくて、迫力ありました。

再生の物語

主人公がヒーローぽくなくて、仲良くなってた売店の売り子さん的な女性が他の男とイチャついてただけで自暴自棄になり、ムエタイに打ち込むのかと思った矢先にまた薬に手を出すし、けっこうダメな部分も多いんです。

それでもムエタイに打ち込み、刑務所内のムエタイチームの監房(ここは待遇がよく比較的人も良い)に移り少しだけ社会性も取り戻し、試合にも勝ち、ちょっとずつ生きることに誠実になっているように見えました。

終盤、主人公は最後の試合後に病院のベットで目を覚ますんですが、警備が手薄なことに気づき、一度は逃げようとぺらぺらの入院服で街へ出ます。

しかし、逃げる道すがら一直線に伸びた線路の上をしばらく歩くと、やはり病院に引き返します。

私はこのシーン、こんな風に思いました。

この線路のように人生はまだまだ続くから、ここで逃げても、一時は解放されるけど、それはまさに薄い入院服姿でふらふら線路を歩くように、先の見えない不安に満ちた人生を生きるのと同じ。

だから主人公は、もう一度あの地獄へ戻り刑期を全うすることを選び、自分の人生を生き直そうとしたんだ、と。

最後に主人公が少しだけ未来に希望を持てたところはぐっと来ました。

いちご大福うまし

鑑賞後、映画館の横にあった和菓子屋さんでいちご大福を買いました。

特選と通常版の2つがあり、店員さんに「どちらにしますか?」と言われて、全然通常版でよかったのに、なぜか「あ、じゃあ特選で…ヽ(´o`;」と100円くらい高い特選を買いました。

めちゃくちゃうまかったです。

関連作品

『暁に祈れ』の監督、ジャン=ステファーヌ・ソベールの過去作品です。

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