『シュガーラッシュ オンライン』の好き度
IT企業で働いていたにもかかわらず、インターネットの仕組みをイマイチわかっていなかった自分としては、「ディズニーにわかりやすくネットの仕組みを教えてもらおう」程度の軽い気持ちで見に行きましたが、まさかの2018年ベスト級に食い込むレベルで衝撃を受けた傑作でした(観たのは2018年12月末)。
好き度はマックスの5つ星です。
シュガーラッシュ オンラインのスタッフ・キャスト
スタッフ
- 監督/リッチ・ムーア/フィル・ジョンストン
- 製作/クラーク・スペンサー
- 製作総指揮/ジョン・ラセター/ジェニファー・リー
キャスト
- ジョン・C・ライリー/ラルフ
- サラ・シルバーマン/ヴァネロペ
- ガル・ギャドット/シャンク
- タラジ・P・ヘンソン/イエス
- アラン・テュディック/ノウズモア
シュガーラッシュ オンラインのあらすじ
アーケードゲームの世界に住む優しい悪役のラルフと親友の天才レーサー・ヴァネロペは、レースゲーム「シュガー・ラッシュ」が故障し廃棄処分の危機にあることを知り、部品を調達するためインターネットの世界に飛び込む。見るもの全てが新鮮で刺激的な世界に夢中になるヴァネロペと、早くもとの世界に帰りたいラルフは少しずつすれ違っていく。シネマトゥデイより
『シュガーラッシュ オンライン』の感想
『シュガーラッシュ オンサイン』はインターネットの世界をわかりやすく解説する”図解映画”としてもよく出来ていると思うのですが、この映画で描かれる壮大なオンライン世界は、子どもを飽きさせないための、そしてこの映画の本当のテーマを伝えるための舞台装置に過ぎませんm9っ`Д´) !!
この映画は、従来型のスタンドアローン式ゲーム空間で生きてきた主人公の「ヴァネロペ」と「ラルフ」が、インターネットに繋がりオンラインゲームといった開かれた新たな価値観・世界に触れることで変化していき、その変化をお互いがどう受け入れていくかがテーマになっています。
さらに言うなら、そのテーマをディズニーが最も“現代的な価値観”に照らして描いた「今という時代を記録しておく意味」でも価値ある作品だと思いますm9っ`Д´) ニカイメ
とまあ偉そうに書きましたが、要はとても面白かったし、(上から目線で言うなら)すごくよく出来てると思ったわけです。
そのため、ついつい熱く、決めつけ口調で書いてしまった次第。
オンライン世界の作り込みにすごいワクワクする…
『シュガーラッシュ オンライン』の主人公、ヴァネロペとラルフはゲームのキャラクター=デジタル的存在なので、オンライン世界は同じ領域なわけです。
よって、Amazonは「ショッピングモール」、YouTubeは「ライブ会場」、オークションサイトebayは「競り市場」、といった具合にWEB上のサービス・ゲーム等が彼らの前で具現化された店や施設として広がります。
このオンライン世界の作り込みがまあワクワクするように描かれてて、しかもよく考えられてるんですよ。
↓オンライン世界でやたらと存在感を放つ巨大ビルのGoogle、
↓青い鳥が呟くtwitter描写、
↓この物知りおじさんこと検索エンジンのおじさんは最高でしたね。
ヴァネロペとディズニープリンセスのやりとりが最高!
ヴァネロペがディズニーのファンサイトを訪れ、歴代ディズニープリンセスと会話するシーンでは、“旧態依然とした古いプリンセス像からの脱却”というディズニー自体が近年挑戦し続けているテーマがメタ的かつやや自虐的に描かれており、とても痛快で笑えました。
このシーンはただ面白いだけでなく、ディズニーの謳う今後のプリンセス像に対しての”宣言”でもあり、事実ここからヴァネロペはディズニー史上もっとも先を行くプリンセスに変化していきます。
映画はクライマックスに向かうにつれ、こうした変化をどう受け入れるか、がテーマになっていき、変化を受け入れる「難しさ」「尊さ」、そして「せつなさ」が語られていきます。
↑歴代プリンセス。吹き替えも極力ちゃんと本人使ってて最高でした。ピクサースタジオのメリダもいます(゚∀゚)
ヴァネロペとラルフ両方に共感して、身につまされる
スタンドアローン型のレースゲームで生きてきたヴァネロペは、決まり切ったコースや車に飽き飽きしていました。彼女はとにかくスリル・刺激が欲しかったんです。
もはや、ちょっとスリルジャンキーにも見えるくらいに…(´∀`;)
↓退屈しているヴァネロペ
そんなヴァネロペはオンライン世界に入り、オープンワールドのレースゲームに出会って衝撃を受けます。そこでは、コースは無限に広がり、世界は常にアップデートされていきます。まさにヴァネロペが求めていた刺激的な世界がオンラインゲームにあったわけです。
私は会社員で毎朝同じ電車に乗って毎日同じ様な仕事をしており、そんな毎日にすごく退屈を感じるタイプですので、ヴァネロペの気持ちはとてもよくわかったというか。
まあ、私はヴァネロペの様に「何よりも好奇心優先!」とまで振り切れてませんが(´∀`;)
ただ、同時に安定を求め相手を自分の世界にとどまらせようとするラルフの方にも共感しちゃいまして…。
オンライン世界にたいして拒絶反応を示し、これまでの安定したスタンドアローン型のゲーム世界に戻るため、ヴァネロペの気に入った世界を壊そうとするラルフを見てたら「これはオレじゃないか…(;´д`)」とも思えたりしてきて…。
要はラルフは、ヴァネロペが新しい世界に行ってしまうのが寂しくて、ヴァネロペを束縛しようと色々間違いを起こすんです。
相手を自分のコントロール下に置こうとする、そのエゴを見ていると「うわ…オレもこういう所あるかも…」とダウナーな気分になりました。
どの関係性にも言える、普遍的なテーマ
ヴァネロペとラルフは「友人関係」で描かれていますが、これを「恋人や夫婦」、「職場仲間」、「親子」といった関係性に置き換えても同じ様に見られるようになっています。
恋人や子どもを自分のコントロール化に置こうとしたり、友人や子どもが新しいことに挑戦することを内心はよく思っていない等、「変化をポジティブに受け入れられない」という事は大人の世界でもしばしばあることだと思います。
それ自体はしょうがないと思うんですよ。でも、その感情をどのように発露するか…、そこはくれぐれも注意しないといけないな、とこの映画を観て感じました。
思いもよらず襟を正すいいきっかけを得られましたよ(´∀`;)
ラストはディズニーらしからぬ帰着
ラストはオンライン時代だからこそ成立できる帰着というか、たんなる舞台装置でしかない思ってたオンライン世界の技術を活かした、現代だからこそ成立する関係性だなと思いました。でも、たしかなほろ苦さも残るという…絶妙なバランス。
なんていうか、ディズニー作品なのでもっとシンプルに楽しい気分で終わるのかと思っていたため、面食らったことは確かです…(;´д`)ホロニガイ
まあ、すごく面白かったですけどね。
最後にどーでもいいですが…
『シュガーラッシュ オンライン』の上映前に『ヘレディタリー 継承』のエンディング曲『Both Sides Now(青春の光と影)』をバックにウッディとバズたちが輪になって踊り、見ようによっては何かを呼び寄せているような『トイストーリー4』の予告が流れます。
『ヘレディタリー 継承』を観た後では、ペイモンを召喚しようとしてる様にしか見えない…(´∀`*)
関連作品
シュガーラッシュの一作目。吹き替え版がおすすめです。
字幕版もあります。
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