『ゴーストランドの惨劇』〜強烈なトラウマと対峙したアンタは偉い〜

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『ゴーストランドの惨劇』の好き度

ゴーストランドの惨劇は、夏だし怖い映画やってないかな〜くらいの軽い気持ちで観に行くことに。

東京だと新宿武蔵野館のみの上映なので、ちょっと観づらい環境ですが、かなり面白かったのでおすすめしたいですね。

やっぱりスリラーやホラーって”展開が読めない”ことによる「初見の怖さ」がありますが、その怖さは映画館で味わうと倍増しますね。

DVDや配信で家で見る場合は、ぜひ部屋を真っ暗にしてできれば真夜中の鑑賞がおすすめです!

『ゴーストランドの惨劇』のスタッフ・キャスト

スタッフ

  • 監督:パスカル・ロジェ
  • 製作:クレマン・ミゼレ、ジーン=チャールズ・レビ、マチュー・ワルテル、ニコラ・マニュエル、スコット・ケネディ、サミ・テスフェジ、ブレンドン・サワツキー
  • 製作総指揮:ステファヌ・セレリエ、グレゴワール・メラン、フレデリック・フィオール
  • 脚本:パスカル・ロジェ
  • 撮影:ダニー・ノワック
  • 編集:デブ・シン
  • 音楽:トッド・ブライアントン

キャスト

  • ベス:クリスタル・リード
  • ヴェラ:アナスタシア・フィリップス
  • ベス(10代):エミリア・ジョーンズ
  • ヴェラ(10代):テイラー・ヒックソン
  • ポリーン:ミレーヌ・ファルメール

『ゴーストランドの惨劇』のあらすじ・感想(ネタバレ)

スクリーンに写っていることを全て信用しちゃいけない映画…というか、一見しただけでは「どこからどこまでが事実で、どこからどこまでが想像かがわからない映画」ってありますよね。

ゴーストランドの惨劇はそのジャンルです。

中盤明かされる、ちょっとした仕掛けに私はけっこう驚きました(;´Д`)ヤラレタ

簡単なあらすじ

あらすじを交えながら感想を書いていきます。

主人公はホラーを書くのが大好きな文学少女ベス(写真右)、そんな妹と反対で奔放でやんちゃなお姉ちゃんのベラ(写真左)、そして女手ひとつで彼女たちを育てる母ポリーンの3人が、相続で継いだ田舎にある今は亡き叔母さんの古民家に移り住むことに。

夜遅くにようやく叔母の家につくと、ここがまあ、お人形さんだらけのなかなか不気味なお家。

とりあえず、お決まりの姉妹喧嘩をしながら荷物を運んでいると、そこに巨漢と魔女っぽい男が乱入!

姉ベラが巨漢に襲われそうになるも、妹ベスは恐怖で何もできずいたところ、最初にボコボコにされた母ポリーンが復活!
愛する子どもたちのために、割れたガラスの破片などを使って魔女風オトコと、巨漢に飛びかかりめった刺しにして、なんとかピンチを脱します。

そして時は流れ…立派な大人になった妹ベスは、自分の実体験をもとに書いたホラー作品『ゴーストランドの惨劇』を執筆し、大ヒット。

作家として大成してました。

一方、姉ベラは事件から長らく経った今もトラウマに苦しんで、精神の調子を崩しながら、例の家で母ポリーンと一緒に暮らしています。

↑大人になった姉ベラ

姉からの電話を受けひさびさに実家に帰った妹ベスは、トラウマに苦しむ姉の世話を母と一緒にするのですが…

実は主人公が大人になってからのくだりは、全部、妹ベスの妄想!

という事が明らかに( ゚д゚)ポカーン

実は、主人公一家に巨漢たちが入った夜からほとんど時間は経過していなかった。せいぜい数日。

姉妹はまだ子供のままで、惨劇の真っただ中

姉ベラの必死の呼びかけで、ようやく妹ベスは妄想世界から帰ってきた、というわけです。

↑ゴリゴリに惨劇の渦中にいる妹ベス

妄想の中で復活して助けてくれた母親は、現実では最初の段階で殺されていたのでした。

彼女はずっと妄想の中に逃げ込む事で、そんな辛すぎる現実をやり過ごしていたわけです。

開始1時間ほどで、大人になってからの話が妄想である事が明かされるんですが、この展開には驚いたし、悲惨すぎて信じたくなかった…(笑)

妄想から帰還後は「監禁脱出モノ」

この映画、妹ベスが妄想から帰ってきてからは「監禁脱出モノ」に変わっていきます。

このジャンルはおもしろいですよね〜。『ドントブリーズ』とか『ヴィジット』とか。

姉妹は協力してなんとか、悪漢に占拠された家から脱出していくわけですが、後半パートは緊張感がすごくて面白かった。

前半はどんでん返しの仕掛けがありますが、後半はそうした細工はありません。目の前の地獄からどう切り抜けていくか…そこにフォーカスされます。

意外だったのは、妄想に逃げ込んでいた妹ベスが現実に戻ってからはけっこう強いこと。

彼女は妄想の中で、現実と戦うこと、現実に向き合わないといけない事を、薄々は感じていたんでしょうね。だからこそ、妄想世界でも惨劇のあった家に戻り、姉の様子を見に行ったんでしょう。

上げて落とす、ドSな展開

この映画ですごい好きな点が、ラスト付近の「逃げおおせた!」と思ったら「また捕まる」という、上げて落とす展開。

『ドントブリーズ』にもありましたけど、アレ、絶望感が倍増するんで好きです。

逃げられた→また捕まる、のショックで妹ベスはまた妄想世界に逃げ込んでしまうんですけど、そこで母ポリーンに会い「妄想世界にとどまりなさい。現実世界には何も無い」と助言されます。

たしかに自分が作家として成功してる妄想世界は、居心地がいい。現実に戻っても地獄の監禁生活がまた続くだけ…。

ベスがそう思っていると、姉ベラが窓の向こう側で苦しむ姿が見えます。

ベスは「やっぱり姉ちゃんを助ける!」と決意して、理想化された妄想世界から今度は自分の意思で現実に戻り、姉を助けに行きます。

このシーンにはグッときました。

細かな伏線も。よく考えられた作品

↑大人になった今も誰かが助けを呼んでいるのはなぜ?と思ったら、リアルタイムのHELPサインだった!

映画を観終わってから「なぜ姉妹は殺されなかったの?」とか、「いくらなんでも妄想癖が強すぎない?」とか、気になる部分がいくつか出てきたのですが、思い返すと伏線シーンがちゃんとあって細かく考えられてるなあ…と感服いたしやした(;´Д`)アッパレ

乱入してきた巨漢と魔女っぽい男の二人組が、いかに悪者かがわかる過去の事件の描写も観たかったですけど、それは無いモノねだりというやつですね。

とにかく、大満足でめちゃくちゃ楽しめる映画でした。

関連作品

今回のパスカル・ロジェ監督の過去作『マーターズ』。なんかすごいプレミアついて高くなってます。

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