『Us』の好き度
『ゲット・アウト』が面白かったのと、9月とはいえまだ暑かったので「ちょっと怖いもの観たいな」という事で予告編が怖かった『Us』を鑑賞してきました。
『Us』のスタッフ・キャスト
スタッフ
- 監督:ジョーダン・ピール
- 製作:ジョーダン・ピール、ショーン・マッキトリック、ジェイソン・ブラム、イアン・クーパー
- 製作総指揮:ダニエル・ルピ、ベア・セケイラ
キャスト
- アデレード・ウィルソン/レッド:ルピタ・ニョンゴ
- ゲイブ・ウィルソン/アブラハム:ウィンストン・デューク
- キティ・タイラー:エリザベス・モス
- ジョシュ・タイラー:ティム・ハイデッカー
- ゾーラ・ウィルソン/アンブラ:シャハディ・ライト・ジョセフ
- ジェイソン・ウィルソン/プルートー:エバン・アレックス
『Us』の感想
あらすじ(ネタバレ)
ざっくりネタバレを混じえながらあらすじを書いていきますね。
少女のアデレードは両親と遊園地に遊びに行った際、1人でぷらっと廃れたミラーハウス(鏡張りの家のアトラクション)に入ります。
そこで、鏡に写った自分と動きがシンクロしな自分の像を見つけ驚愕→
急に言葉が喋れなくなり失語症という診断を受けます。
ときは流れ…。
アデレートは大人になり失語症も治って、夫と子供二人(娘、息子)の幸せな家族を築いていました。
※写真の1番左が大人になったアデレート
ある日、久しぶりに例のミラーハウスのあった遊園地に家族で行くことになりま。
アデレードはトラウマの場所なので不安でしたが、旦那の押しもあって結局行くことに。
しかし、さすがはトラウマの場所。
案の定事件が起きます。
その夜、自分たち家族とそっくりの4人の人間が住まいを襲撃してきたのです。
アデレードのそっくりさんが「お前らを殺す!」的なことを言うと、夫のそっくりさんや息子のそっくりさんが「ゔぁー!!」「ぼー!!」などと言いながら襲ってきます(娘のそっくりさんは不敵に笑うだけ)。
※写真の1番右がアデレート
アデレード一家は、彼らと戦ったり逃げたりしますが、そっくりさんたちは身体能力が高く強いので一筋縄ではいきせん。
そして、逃げてる途中に、どうやら自分たち以外の人間のそっくりさんたちがいて、そこらじゅうの人が襲われているという事実も知ります。
その後いろいろあって、アデレートはそっくりさん達に本物の息子をさらわれてしまいます。
息子を奪還するため、そっくりさん達のアジトである例のミラーハウスに乗り込むアデレート。
ミラーハウスの地下深くに行くと、ついにそっくりさんと息子を発見。
しかしそこで、そっくりさんから衝撃な事実を知らされます。
なんと、そっくりさん達は、アメリカ政府の実験で作られたクローン人間なのでした。
どうやら、過去にアメリカ政府が見た目や行動が地上に住んでる人間とシンクロするクローン人間を作り地下施設に住まわせていたそうな(;´Д`)
しかし、政府が実験を投げ出したせいで、クローン人間たちは地下の劣悪な環境で生き続けるしかなくなり、今回の騒動は、ついにクローン人間たちが意を決して行った地上の人間への復讐劇とのことでした。
とはいえ「息子は返してほしい」アデレート。自らのクローンを何とか殺し、息子を取り戻して地上に生還します。
家族とも合流し車に乗って、さあ帰るぞ!めでたしめでたし…となったとき、アデレードは急に幼い頃のミラーハウスでの出来事を思い出します。
その記憶だと、ミラーに写った自分そっくりの少女はアデレードの首を締め失神させ、互いの服を着せ替えた後、ミラーハウスから出ていきました。
そう、実は今ここにいる自分こそがクローン人間だった事にアデレートは最後の最後に気づくのです。
本物のアデレードは幼少時代にミラーハウスに取り残され、地下で生活をして今夜、復讐に来た彼女でした。
それに気づいたアデレードは驚愕しますが、息子に目をやると、どうやら息子は誘拐された時に真相を聞かされたのか、なんとなく察している模様で、そっとお面を被りましたとさ…。
クローン人間達との戦闘シーンはゾンビ映画的な楽しさも
予告編を見た時は「相手が幽霊モノのホラー?(;´Д`)」と思ったのですが、まさかの「クローン人間との対決」。
この展開は意外でした。
全体的に不穏な空気が漂いテーマも重めの本作ですが、中盤は「人間 VS 殺戮クローン人間」という図式で、戦闘シーンは「ゾンビモノ」に近い作り。
アデレート一家の戦闘力が途中からけっこう上がってきて、立て続けにクローンを倒していくシーンは爽快感があり楽しくもあります。
笑えるシーンもあるが、終始、油断できない
※ジョーダン・ピール監督。『Us』公式サイトより。
裕福な白人一家のオーディオからN.W.Aの「ファック・ザ・ポリス」が流れ、白人一家がクローンにガンガン殺されていくシーンや、アデレート一家が誰が一番多くクローンを殺したか確認しあうシーンなどは、コメディアンでもあるジョーダン・ピール監督らしく、ブラック・ジョーク的な皮肉たっぷりのシーンでした。
他にも、逃げる時にまだ小さいアデレートの娘が執拗に車を運転したがりクローンを轢き殺す場面や、旦那さんの虚勢を張ってるけどヘタレな所などは、思わず笑ってしまい、張り詰めた空気を一瞬緩ませてくれます。
まあ、だからこそ次にくる緊張感あるシーンに凄いビビらされるワケですが(;´Д`)
伏線がかなり張られてて唸らされる
物語全体で見ても、伏線がちゃんと張られてて見終わってから「なるほど…」と唸る所が多かったのも印象的です。
わかりやすい所で言うと…、
夫のそっくりさんや息子のそっくりさんは「ヴォー!!」などという言葉を使いクローン同士が意思疏通を図るシーン。クローン人間は地上の人間とは異なる言語を使う事を示してるわけですが、アデレードが幼少時代にミラーハウスから帰ってきたら急に言葉がしゃべれなくなったのも、そういう理由からか…と気づいた時はハッとさせらましたよ(;´Д`)ナルホド
あのシーンは、幼少時代、本物のアデレートに成り代わったクローンが、まだ地上の人間の言語を覚えてなかった、という描写だったわけです。
逆に、アデレートが大人になってから家族4人のそっくりさんが襲撃してきた際に、アデレードのクローンだけが「お前らを殺す!」的な言葉をしゃべれていたのも、実は本物のアデレードが地下で成長した姿だった、ということ事を示していたという…(;´Д`)ナルホド
メタファーいっぱい
作中の至るところに、アメリカの歴史、現代アメリカの抱える問題のメタファーが散りばめられていた点も、本作の「計算の行き届いた質の高さ」を感じさせます。
例えば(私はアメリカ史や経済格差などへの深い見識はないし、察しも極端に悪いほうですが)、地下と地上の世界は貧困層と富裕層のメタファーだったり、序盤でスリラーTシャツをきていたアデレートの正体はクローン…という事だったり、ほかにも色々散りばめられてます(多分)。
詳しくは『Us』公式サイトで、映画評論家の町山智浩さんが解説してるので参考にしてみてください。
設定で気になる点も多い
とはいえ、「ドッペルゲンガーが作られた理由」や「彼らがどうして長年地下に潜ったままだったのか(アデレードが地下世界の教祖になって地上に行くぞ!と焚き付けたっぽいけど)」とか、「そもそも地下の世界はどういう作りになってるのか」とか、「地下のみで生活するのは相当インフラがしっかりしてないと無理じゃない?」など、いろいろ気になる点、説明不足な点が多いのも確かだと思います。
とはいえ、個人的にはそうしたちょっと気になる点なんてどうでもいいと思えるほど、夢中になって見入ってしまった作品でした(´ε` )
関連作品
ジョーダンピル監督の前作『ゲット・アウト』。
「アカデミー脚本賞」作品で、こちらもかなり話題になりましたね。実際すごい面白かったです。
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