『ワールド・オブ・ライズ』の好き度
リドリー・スコット監督作品。レオナルド・ディカプリオ主演。上司役のラッセル・クロウがいい味だしてました。中東モノですが中東感は薄め。とはいえ、スリルあるシーンが多くておもしろかったです(´∀`)
『ワールド・オブ・ライズ』のキャスト・スタッフ
スタッフ
- 監督:リドリー・スコット
- 製作:ドナルド・デ・ライン リドリー・スコット
- 製作総指揮:マイケル・コスティガン、チャールズ・J・D・シュリッセル
- 原作:デビッド・イグネイシアス
- 脚本:ウィリアム・モナハン
- 撮影:アレクサンダー・ウィット
- 美術:アーサー・マックス
- 音楽:マーク・シュトレイテンフェルド
キャスト
- ロジャー・フェリス:レオナルド・ディカプリオ
- エド・ホフマン:ラッセル・クロウ
- ハニ・サラーム:マーク・ストロング
- アイシャ:ゴルシフテ・ファラハニ
『ワールド・オブ・ライズ』のあらすじ・感想
あらすじ
過激派イスラム系テロ組織のリーダーを見つけるべく、中東へ潜入しているCIA局員フェリス(レオナルド・ディカプリオ)と、CIA本部から現場の状況を無視して強引な支持をだしまくる上司ホフマン(ラッセル・クロウ)。
彼ら2人の相性は最悪で、捜査方針で揉めまくるわ作戦も息が合わないわで、なかなか捜査がうまくいきません。
焦ったフェリスは現地の情報機関のボス、ハニ(マーク・ストロング)に協力を仰ぎ捜査体制を強化しますが、CIAの上司ホフマンとの間で板挟みになり、思うように動けずハニとの約束を破り信用を失います。
そこからフェリスにさらなる災難が。現地でできた彼女も人質にとられてしまいます。
ハニの協力も得られず八方塞がりとなったフェリスは彼女を救出するためしょうがなく自らもテロ組織に捕まりにいきます。
フェリスは、皮肉にも自分が追っていたテロ組織のボスとそこでやっと対面。
拷問され殺される…と思ったら、なんとハニの部隊が救出に現れテロ組織を一網打尽にします。
実はフェリスの彼女は人質にされておらず、フェリスをおとりにしてテロ組織の居場所を突き止めるためにハニが嘘をついていたのでした…。
ハニは普段から「嘘が嫌いだ!」と豪語していたのに、最後の最後で1番デカいドッキリを仕掛けていたという展開…。
その後、すべてが解決したので、フェリスと上司のホフマンは中東で落ち合いますが、強引&冷酷な上司ホフマンのやリ方についていけないと感じたフェリスは、任務を終えてもアメリカに帰らず中東に残ることを告げ、物語は終わります。
中東問題がよくわかる、というタイプの映画ではない?
中東の過激派テロ組織のボスを捕獲する、というと比較的最近では『ゼロ・ダーク・サーティ』を想起しますが、『ゼロ・ダーク・サーティ』ほどアメリカ側の拷問描写があったり…凄惨なテロシーンがあったり、といった「実態に忠実に…」というタイプの映画ではなかったです。
それより、もっとエンタメ性が強いというか。
あくまで、中東は舞台装置として記号的に使われているだけで、テロリストの描き方やアメリカ側の捜査シーンなどは、別の映画でもよく見る感じ…といってもいいと思います。
例えば「テロリストに襲われて、大統領を守るためホワイトハウスに残ったフェリスと、外から指示を出すホフマン」(それは別の映画がある!!∑( ゚Д゚ノ)ノ )といった様に舞台を置き換えても普通に成立する話や敵キャラ像だったというか。中東モノならではの感じはなかった気が…。
とはいえ、緊張感があるシーンの連続で普通にアクション映画として面白かったですけどね。
気になる部分も…
でも、「え?それどーなんだ?!」とノれない部分もありました。
終盤、フェリスとホフマンが中東で建築家として働く何も知らない一般人をテロリストのボスに勝手に仕立て上げ、偽の爆破テロ事件を起こし本物のテロリストからのコンタクトを待つ…という作戦をとるんですが、結局、その一般人の建築家だけ本物のテロリストに拉致され何が狙いかを聞かれる→何も知らないから答えられない→拷問され殺される、という展開があります。
市井の人である何も知らない建築家が、完全なとばっちりを食らうという展開で、
「え…(;゚Д゚)」
と思わず驚いてしまいました。
一応、フェリスは偽テロ事件を起こした後に、建築家がテロリストからコンタクトされないように保護しようとしてたけど(あっさり失敗した)、ホフマンに関してははじめから「ほっとけ」という始末…。
しかもさらに驚いたことに、この作戦にたいして「この様な目的のためには手段は選ばない、といったヒドい捜査が横行してる」ことを問題視する展開にはならず「あ、そこは本題じゃないんで…」とサラっと流す作りという。
あの建築家の人生は…。
脚本が微妙なのか?
映画素人の私が言うことなぞどこまでも聞き流していただきたいのですが、前述した「中東描写が記号的」な点や、「一般の建築家を巻き込むちょっとどうかと思う作戦」など、本作は脚本が微妙な気がします。
アクションシーンは普通に迫力があったりするので、もうちょっと話の展開が違ってたらもっと好きになってたかも…。
ディカプリオがイケメンとワイルドの中間くらいの時期でいい感じ
超表面的な感想ですが俳優陣について。レオナルド・ディカプリオが本作でもいい味出してました。
ディカプリオといえば日本では『タイタニック』でブレイクした印象がありますが、あの頃はイケメン度MAXの超絶美青年。
それが年齢を重ねだんだんとワイルドに。髭を生やしてガタイもよくなり”男臭さ”がムンムンになっていきます。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では、イケメン美青年な成分はほぼなくなり、90%以上ワイルド成分でできた男になりました。
本作のディカプリオは、そんなイケメン度数とワイルド度数のバランスがちょうど良い、中間の時期(いや、7:3でワイルドか)といった印象。
犯人を追う時や上司ホフマンと言い合う時は粗暴な感じなのに、現地の女性といい仲になるシーンでは「甘いマスク」を見られたりもします。
ラッセル・クロウ演じる上司ホフマンが嫌な奴で良い
でも実は、個人的にはディカプリオよりも、ラッセル・クロウ演じる上司ホフマンの方が印象に残っています。
実際にホフマンのような上司がいたら超ムカつくと思うんですが、そういうキャラクターの方がなんだかんだ印象に残りますね…(;´∀`)クソッ
というか、むしろどんどんお気に入りキャラになってます(笑)。
ホフマンは「アメリカの利益」を最優先で考えており、そのための犠牲は厭わないタイプ。現地協力者も用無しになったら保護せず、スパッと切ったりする冷酷な面も。
いつもアメリカの安全圏から、電話で中東の危険地帯のフェリスに強引な指示を出し、ゴリゴリ捜査を進める仕事人間(フェリスはそんなホフマンに不満たっぷり)なんですが、実は要所要所で家族サービスをしっかりしてる生き方上手でもあります。
彼の人物像を示すシーンで私が特に好きなのは、ホムマンが子供のサッカーチームの手伝いをしながらフェリストに電話で指示を飛ばすシーン。
フェリストにキツい要求をしながら、同時に子供の母親たちには笑顔で話しかけ、率先して準備を手伝い、いい父親感をだしてきます。
この男は仕事では鬼だけど、私生活では絶対「いい父親」と思われてるんですよね。
この抜け目なさ。本当ムカつくやつです(いい意味で)。
そんな風に自分は安全圏にいながら、仕事も私生活も器用にこなしてるのに、離婚協議中のフェリスには「この仕事に離婚はつきものだ。気にするな( ´_ゝ`) 」なんてことを平然と言ったりするするから、思わずフェリスの代わりに「お前のせーだろ!!」とツッコんでしまいましたよ。
とまあ、なかなか嫌なヤツなんですが、ここまで生き方上手だともはや清々しい気持ちになってきて、不思議とだんだんホフマンが好きになってもきちゃうんですよね。
ラッセル・クロウの風貌が丸くてぽよんとしてるのも、なんか憎めないというか、嫌いになれない理由かもしれません。
まとめ
脚本で気になる点もありましたが、リドリー・スコット監督作品だけあってアクションシーンはさすがの緊迫感。普通に面白かったです。
関連作品
『ワールド・オブ・ライズ』の字幕版です。
吹替版はこちら。
『ワールド・オブ・ライズ』と同じ、リドリー・スコット監督&ラッセル・クロウ出演の作品でとても好きな『アメリカン・ギャングスター』。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウが対決。ふたりとも渋みが最高っす。
コメント