『IT THE END それが見えたら終わり』の好き度
『IT THE END それが見えたら終わり』を見てきました。映画そのものももちろん面白かったですが、個人的にはそれよりも様々なモンスターに擬態したり、多様な顔芸を見せてくれる”IT”というキャラクターにやられました…(;´∀`)サイコー
スタッフ・キャスト
スタッフ
- 監督:アンディ・ムスキエティ
- 製作:バルバラ・ムスキエティ ダン・リン ロイ・リー
- 製作総指揮:リチャード・ブレナー デイブ・ノイスタッター ゲイリー・ドーベルマン マーティ・ユーイング セス・グラハム=スミス デビッド・カッツェンバーグ
- 原作:スティーブン・キング
- 脚本:ゲイリー・ドーベルマン
- 撮影:チェコ・バレス
- 美術:ポール・D・オースタベリー
- 衣装:ルイス・セケイラ
- 編集:ジェイソン・バランタイン
- 音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ
キャスト
- ペニーワイズ:ビル・スカルスガルド
- ビル:ジェームズ・マカボイ
- ベバリー:ジェシカ・チャステイン
- リッチー:ビル・ヘイダー
- マイク:イザイア・ムスタファ
- ベン:ジェイ・ライアン
- エディ:ジェームズ・ランソン
- スタンリー:アンディ・ビーン
- ビル(子ども時代):ジェイデン・マーテル
- スタンリー(子ども時代):ワイアット・オレフ
- ベバリー(子ども時代):ソフィア・リリス
- リッチー(子ども時代):フィン・ウルフハード
- ベン(子ども時代):ジェレミー・レイ・テイラー
- マイク(子ども時代):チョーズン・ジェイコブズ
- エディ(子ども時代):ジャック・ディラン・グレイザー
あらすじ
デリーという田舎町に出没し子供たちの命を奪っていた正体不明のペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)を、ビルやベバリーらルーザーズ・クラブのメンバーたちが撃退してから27年後。再びデリーで不可解な連続児童失踪事件が起き、クラブのメンバーにデリーへ帰ってくるように促すメッセージが届く。そしてビル(ジェームズ・マカヴォイ)たちは、デリーに集結し久々に顔を合わせる。シネマトゥデイより
『IT THE END それが見えたら終わり』の感想
ITピエロの顔の完成度の高さよ…
ITことペニー・ワイズがもう、いろんな意味で最高でしたよ…。とくに評価したいのは顔芸でしょう。作中、数々の名作フェイスがでてきて、観終わったあと一緒に見た知人と顔マネを小一時間ほどやりつづけてたのは言うまでもありません。
個人的にとくに好きなのは、(予告でも印象的に使われてますが)ぽっちゃり体型の少年がペニーワイズに襲われてロッカーに隠れると…なんと真後ろにペニワが!!のときの顔。ご覧ください↓
これがもう最高でした。海老蔵もびっくりのにらみ顔。うん、100点です。
あとは、これも予告やPR記事など至るところで使われてる画像ですが、物語序盤に顔にアザのある女の子が犠牲になってしまうシーンでのペニーワイズさん。これぞ「THE IT」と言いたくなるいい顔でした…。ご覧ください↓
THE ITな表情
あとインパクト部門で言えば(なにその部門)、主人公が遊園地のミラーハウスに入った時に現れた長〜いベロしたペニーワイズのさんも忘れてはなりません↓
推定20cm
ちなみに、これらの顔のバリエーションは10種類くらいあってそれぞれ名前がついてるとのこと。いやあ、研究に研究を重ねたんでしょうね。どれもいい顔でしたよ。そんなわけで、ITことペニーワイズを演じたビル・スカルスガルド氏には万雷の拍手を贈りたいですな(´ー`)
ビル・スカルスガルド氏は、シャーリーズ・セロン姉御の名作『アトミック・ブロンド』にでてた、主人公をなにかとアシストしてくれる「謎のデキる諜報員」メルケル役の彼です。
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ITのときは衣装のせいか姿勢のせいかわかりませんが長身に見えませんでしたが192cmもあるそうな…。ちなみにお兄ちゃんは『ターザン』のターザン役アレクサンダー・スカルスガルド。イケメンすぎる兄弟だ…。
IT退治、それはつまりトラウマ克服
とまあ、物語うんぬん以前にITの顔芸やキャラクターだけで十分楽しめる本作なわけですが、もちろん内容も面白くて。
まず序盤、ITが27年ぶりに出現するシーン。あるゲイカップルが地元のチーマーにからまれ、暴行にあって川に投げ捨てられるのですが、ここの暴力描写がけっこう生々しいんですよね(IT自体は非人間=おばけ的な存在なので、こういう”人間自体の怖さ”が最初にくるのは予想外でした)。
そして、予想外の暴力描写に面食らってると、川に投げ捨てられた被害者がITに攫われていきます。
これを見て「え、あんだけの目に遭ったのにITの犠牲者になるのも殴られた彼なの?」と思い、ふたたび面を食らうというね…。
でも直後「あー、ITは悪者を襲うんじゃなくて弱者を狙うんだった…」と思い出しました。そうなんですよね、ITは心が弱った時にやってきて食い物にするので、ITの犠牲者になる人は、虐待されたり、いじめられてたり、厳しい状況にいる人間なんです。そこをITに狙われるので彼らにとっては不条理以外のなにモノでもないという…。
そういうわけで1作目の『IT それが見えたら終わり』では、主人公たち「ルーザーズ」のメンバーの悲しい事件やキツイ家庭環境が描かれていました。
一方、2作目である本作では、1作目のルーザーズのメンバーが大人に成長した姿が見られ、27年ぶりに現れたITを、再結集したルーザーズが討伐するという展開。ルーザーズは、少年期の家族やいじめっ子との辛いトラウマ、そこにつけ込んできたITの悪夢を思い出しながら、討伐の手がかりを探します。
2作目では、この「少年期のトラウマ」「成年期の現在」が行き来する構成がとても良く、彼らが過去、何に恐れてどうやり過ごしていたのか、そしてそれは現在も彼らの心に影を落としている…という事がよくわかる描写になっています(少年期の描写は1作目で描かれていないシーンがたくさんあったのもよかった)。
そして、彼らが再びITを倒すことで、少年期から大人になった今でも抱えていた“トラウマからの解放”というのが本作のテーマになっています。
ITは、例えば虐待する父親に苦しむ少女に対しては父親に化けて襲ってくる等、各メンバーのトラウマにリンクした襲い方をしてくるので、この映画では「ITを倒す事」と「自身のトラウマを克服する事」はイコールになってます。特に2作目を見るとITは、”皆が抱えるトラウマの化身”というのがよくわかります。
だからこそ、彼らがクライマックスの対決シーンで、ITを「詐欺師!」「ただのピエロだ!」「お前なんか怖くない!」と罵倒するシーンは自身の苦しんでいたトラウマに対しての発言ともとれるし、事実、IT討伐後の彼らはトラウマから解放され、デリーの街からふたたび旅立っていきます。
そんなラストの展開で特に印象的だったのは黒人のマイク。彼だけは27年前にベニーの街でITと出会ってしまってから、取り憑かれたように街を観察しつづけてきました。唯一デニーに住み続けていた彼は、本作のラストでようやく街から旅立つことができるわけです。
誰だって“執着したくないのに執着してしまう”ことにより苦しむことがあるわけで、だからこそ、そこからの解放は見ていて気持ちいいんですよね。マイクの展開は好きです。
でも、1作目も2作目も構成が同じで、ちょっと飽きたのも確か
そんなこんなで十分楽しい映画でしたが、1作目と2作目がかなり似た構成だったので正直ちょっと退屈に感じてしまった所もあるいうのも事実です(2作とも2時間超えの長い映画なのでなおさら)。
1作目も2作目もルーザーズメンバー1人1人のエピソードを丁寧に描いていくので、「子供時代(過去)と大人時代(現在)を対比しながら見られる」、「各メンバーへの思い入れが強くなる」といった良い効果もあるのですが、“誰のエピソードも最後にペニーワイズが襲ってくる”という同じ展開なのでちょっと飽きちゃうんですよね。
まあ、ペニーワイズのおどかし方がかなりバリエーション豊富なので、この辺は映画というより“お化け屋敷的に楽しむ”、てな具合に方向転換すれば全然面白いと思うんですが。
ちなみに、2作目からでも話はわかると思いますが、それでもやはり1作目は見ていたほうが絶対おもしろいと思います。
関連作品
『IT それが見えたら終わり』
今回のリメイク版の前編にあたる『IT それが見えたら終わり』。こちらは少年期のお話。ホラーとしてだけでなく、ジュブナイルモノとしてもかなりの作品です。
『IT』
ちらはもともとの映画版『IT』。こちらは前・後編スタイルではなく1作のみ。ただし3時間7分と超大作です。こちらのペニーワイズの方が不気味なおっさん感が強め。
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