『アウトレイジ』の好き度
もう何度か観てる『アウトレイジ』を改めて見直してみました。この作品は淡々としていますが、なんか癖になるんですよね(;´∀`)
語り口が速くて、ストレスなくスイスイ見られるので時折見返したくなるというか。
※これといった明確な話があるわけではない、ヤクザたちの群像劇的な映画なので今回はあらすじは記載しません。
アウトレイジのスタッフ・キャスト
スタッフ
- 監督:北野武
- 脚本:北野武
- プロデューサー:森昌行 吉田多喜男
- アソシエイトプロデューサー:梅澤勝路 葉梨忠男 武田佳典
キャスト
- 山王会大友組組長 大友ビートたけし
- 山王会大友組若頭 水野椎名桔平
- 山王会大友組組員 石原加瀬亮
- 山王会本家若頭 加藤三浦友和
- 山王会池元組組長 池元國村隼
- 山王会池元組若頭 小沢杉本哲太
- 村瀬組組員 飯塚塚本高史
- 村瀬組若頭 木村中野英雄
- 村瀬組組長 村瀬石橋蓮司
- 刑事 片岡小日向文世
- 山王会本家会長 関内北村総一朗
『アウトレイジ』の感想
淡々としてる
この映画とにかく淡々としています。悪く言うと単調ともとれるような雰囲気。余計な説明セリフとか全然ないし、ナレーションもゼロ。よく言うとスマートでするすると見られます。濃厚ラーメンじゃなくてそうめんみたいな感覚。
この淡々とした雰囲気でよそ見なしのゴリゴリの暴力描写が描かれるため、余計に暴力シーンのショックは大きいです。
暴力描写は強く、殺しはあっさり
暴力描写はキツめで、しっかり映します。
指詰めるシーンもモロ見せだし、歯医者で診察台に寝てる敵を襲うシーンでは、ドリルで口をゴリゴリやって口の中が血の海でゴプゴプするのもしっかり見せます。
あれはほんと過激…(;´Д`)ア,イター
しかし、「暴力シーン」が激しい一方で「殺しシーン」はあっさりしているのが本作の特徴です。
殺しはほぼ銃撃ですが、サクッとと撃って終わりというパターンが本当に多いです。北野作品の銃撃は「形式的」や「抽象的」などとよく言われますが、まさにそんなシーンばかり。
というのも、この映画のヤクザたちの「暴力」は「相手あるいは相手組織への示威行動」、つまり、ある種コミュニケーションの一つ(最悪のコミュニケーションだが)なんですよね。だからいや〜なメッセージ性が込められてる。
でも、一方で「殺し」は「コマとして不要になったから消す」という意味以外はないんですよね。いちいち意味は込めない。だからサクッと殺って終わりというパターンなんだと思います。
とはいえ彼らの殺しは、作業感が強く、人をコマとしてあっさりと殺すという点で、派手な暴力よりもある種残酷さがあります。
死角からの攻撃はとくに残酷、せつなくも感じる
殺しのシーンと言えば、柄本時生演じる下っ端ヤクザがトイレの個室で死角である真上から射殺されたり、森永健司演じる大友組のスポーツ刈りの人が目の前に止まった車に気を取られてるすきに横にいた車(これまた死角)から射殺されたりと、“思っていなかったところから殺されるシーン”がちょいちょいあるのも印象的です。
これも例によってサクッと殺りますが、「本人が死ぬと思ってないタイミングで殺す」っていう要素がある分より無情感みたいのが強まり、なんともいえない気持ちになります…。
大使館うんぬんのくだりがギャグ性が強い
暴力描写の激しさ、それとは対称的なサクッとした殺し描写の連続で残酷・凄惨な雰囲気が漂い「これがヤクザの世界か…」といい感じにビビってたのですが、中盤にけっこうな時間を割かれて描かれるアフリカ系の大使館を利用したヤクザのしのぎシーンで、これまでのピリついた空気が完全に緩んだのはちょっと微妙な気がしました。
“箸休め”としてよかったのかもしれませんが、個人的には前半の残酷&凄惨&無情な雰囲気なままやってほしかったなあ(;´∀`)。
まあ、ちょっと長めのギャグシーンとして楽しいっちゃ楽しいんですが。
話自体を楽しむというより、シーンごとを楽しむ感じ
本作は、ストーリー自体にはあまり明確なものはありません。些細なことから同組織内で報復合戦をしているだけです(話が逸れますが、同じ組織内でこんなに殺し合いをしてたらすぐ人員不足になって壊滅する気がします)。
そして、彼らの報復自体も「仁義」や「義理」といったモノではなく、「欲」や「体裁」から行われるだけなので、観てる側が感情移入して熱くなれるようなこともありません。
なので、ストーリーを追うというよりは、どちらかというと「キャラクター」や「バイオレンスシーン」をそれ自体を都度都度楽しんでいく方が、本作は楽しめると思います。
癖の強い登場人物がたくさんでてきますし、バイオレンスシーンもバリエーション豊かで何パターンも用意されているため、見ていて「お次はこうきたか…」と唸ってしまいます(´ー`)
ウィキペディアによると「どうやって人を殺そうかというプロセスを先に考え出し、それに対しストーリーを後付けした」とたけし本人が語っているそうなので、殺しのバリエーションが多いのも納得。むしろそこがメインなわけですからね。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』も、先にやりたいアクションを考えてから脚本をあとづけてしていった、って作り方だったはずなので、そうした作りは「全体の話の完成度」よりも「都度のシーン」を重視するタイプのエンタメ作品を撮る際にはけっこう有効な手法なのかもしれませんね。
そういえば、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』もストーリーの完成度はちょっと微妙なところがありましたが、アクションは文句なしでしたもんね。
まさか、『アウトレイジ』と『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』って意外と似てる作品ってこと?
関連作品
『アウトレイジ』シリーズは理由はわかりませんが配信はしていない模様です。現状はレンタルショップでDVDを借りるか、買うかしかありません。
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