『ホース・ソルジャー』の好き度
戦争映画はけっこう好きなのですが上映中は見ることができなかった作品。
アマゾンプライムで見つけたので、さっそくチェックいたしました。
馬で戦うということで「歴史ものか?(´ε`)」と思ったのですがアメリカ同時多発テロ事件(9.11)直後のお話でした。
『ホース・ソルジャー』のキャスト・スタッフ
スタッフ
- 監督:ニコライ・フルシー
- 製作:ジェリー・ブラッカイマー モリー・スミス サッド・ラッキンビル トレント・ラッキンビル
- 製作総指揮:アンドリュー・A・コソーブ ブロデリック・ジョンソン チャド・オマン マイク・ステンソン エレン・H・シュワルツ ギャレット・グラント イェール・バディック バル・ヒル ダグ・スタントン
- 原作:ダグ・スタントン
- 脚本:テッド・タリー ピーター・クレイグ
キャスト
- ミッチ・ネルソン大尉:クリス・ヘムズワース
- ハル・スペンサー准尉:マイケル・シャノン
- サム・ディラー:マイケル・ペーニャ
- ドスタム将軍:ナビド・ネガーバン
- ベン・マイロ:トレバンテ・ローズ
- ショーン・コファーズ:ジェフ・スタルツ
- バーン・マイケルズ:サッド・ラッキンビル
- バワーズ中佐:ロブ・リグル
- マルホランド大佐:ウィリアム・フィクトナー
- ジーン・ネルソン:エルザ・パタキー
『ホース・ソルジャー』のあらすじ
アメリカ同時多発テロ翌日の2001年9月12日。対テロ戦争の最前線部隊に志願したミッチ・ネルソン大尉(クリス・ヘムズワース)は、12名から成る特殊作戦実行部隊の隊長に任命され、アフガニスタンへと乗り込む。
反タリバン勢力を率いるドスタム将軍と協力し、テロ集団の拠点マザーリシャリーフ制圧に動きだすミッチたち。
だが、タリバンの軍勢が予想を大きく上回ることが判明し、山岳地帯の厳しい自然も立ちはだかる。ドスタムは、山岳地帯では馬が最大の武器になることを彼らに教えるが……。シネマトゥデイより
『ホース・ソルジャー』の感想
戦争モノとしてはかなりあっさりした作り
画像元:(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
戦争描写は『ハクソー・リッジ』や『プライベート・ライアン』などの猛烈な戦場シーンがある映画と比べるとかなりあっさりめ。
戦争映画につきものの、兵士が負傷してひどい怪我を負ったり、死んでしまうといったグロ&エグいシーンはありません。
『ローン・サバイバー』のような、敵に追い詰められ絶望的になったり、味方が無情にもやられたりといった事もほぼないので、起伏が少なく、ともすれば単調に感じる場面もしばしば…(;´∀`)サーセン
兵士のバックボーンも薄口
戦争映画、とくに時制が現代の場合は戦場に行くまでに、兵士の覚悟や家族との絆などが描かれる事が多いです。
本作も序盤に描かれますが、これがまたかなりあっさり。ちょろっとそういうシーンがあって終わりです。
また、9.11直後ということもあり兵士がみんな「戦争へ行って敵をぶっ殺してやる!」というテンション全開で、戦場へ行くこと=死への恐怖心や、それとの葛藤などもまったく描かれません。
こうした”兵士のバックボーン”がほぼ描かれない作りなので、あまり各キャラクターに思いれることができませんでした。
もうちょっとこの辺掘り下げてほしかったなあ、と思います。
もしくは、例えば「9.11」の状況をもう少し詳しく描写して、”兵士が迷わず戦場へ行くことへの必然性”を観客にも強く感じさせる作りにしておけば良かったのでは…なんて思いました(まあ、「9.11」後に兵士が積極的に戦場へ行くことは、アメリカの人には説明不要で理解できることなのかもしれませんけどね)。
敵は敵としてか描かれない
敵の描き方もちょっと物足りなさがあって。なんていうか、タリバン側は完全に“役割としての敵”としてしか描かれません。
彼らの残虐性、素顔、家庭、生活などは全然描かれれず、書き割りと言ってもいいレベルです。
そこもまた「説明不要でわかるだろ」ということなのかもしれませんが、あまりにも存在感がないのでちょっと微妙に感じました。これだと倒した後のカタルシス的な効果も薄れるし、何よりあまり“現実感がある敵”として感じられませんでした。
戦闘描写はちょっとわかりずらい
戦闘描写は空爆がメインということで、火薬が多めでどっかんどっかん!って感じなのですが、その割に迫力はイマイチ…というのが正直な感想です。
本作はクライマックスに主人公たち米兵が馬に乗って敵陣に突撃するシーン以外は、遠距離からの銃撃戦や空爆ばかりなのですが、この遠距離戦は、”位置関係”がほんと把握しずらかった(;´∀`)
撃たれたのが敵か味方かよくわからず、「そもそも、いま何が起きてるのかよくわからない…!」と感じることが多かったです(観ている人間=自分の観賞レベルの低さの可能性もあり)。
でも、本作を観てて思ったんですが、遠距離の戦いって「もしかするとそもそも撮るのが難しい」のかもしれませんね( ´_ゝ`)(急に素人が意見)。
全体像がわかるように味方と敵を同一画面にいれるとかなり“引きの絵”になって迫力が出ないし、逆に味方あるいは敵のみをアップで映すと“銃を撃つところ”か“撃たれるところ”という一方通行の絵しか撮れなくなっちゃうので、遠距離戦で全体像を把握させつつ迫力があるシーンを撮るのってかなり大変なのかもしれません。
実際『ハクソー・リッジ』や『プライベート・ライアン』のあのすごい戦場シーンも歩兵対歩兵の“近距離戦”でし、本作で一番迫力があったクライマックスの馬での突撃シーンも同一画面内に味方と敵を映せる”近距離〜中距離戦”でしたもんね。
なので、遠距離戦で迫力ある戦闘シーンを作るにはなにか別のアプローチが必要なのかもしれないなあ…なんて本作を観てて思いました(生意気に…)。
そういえば『ハートロッカー』や『アメリカンスナイパー』の遠距離戦は、バンバン派手な打ち合いをしない代わりに、スナイパー同士の緊迫感あふれる対決で迫力を出してましたね(まあスナイパー対決だとちょっと毛色が違うけど)。
とはいえ「実話ベース」にねじ伏せられる
そんなこんなで本作はけっこう微妙に感じたんですが、それでもやっぱり実話をもとにしてるって事で、だいぶ評価が上方修正されるような気もします。
やっぱり、実話って前提で見ると「すごいなあ…」と思ってしまうシーンも多いんですよね(´ー`)
逆に、これが完全なフィクションならけっこう駄作よりに感じたと思うのですけど。
クライマックスの馬での突撃シーンは実話と考えるとすごい
特にすごかったのがクライマックスの馬での突撃シーン(ていうかこのシーンも実話なのかな…?実話として話を進めますね(;゚∀゚)ヘヘ)
最新の多連装ロケット砲を撃ちまくるタリバン陣地へ、アメリカ兵が馬に乗って突撃して敵を全滅させるのですが、これ、フィクションだったら現実離れしすぎてて冷めてしまう展開だと思うんですよ。それが「コレ、実話ですから」って前提のおかげで「超すごいシーン」に変化してたと思います。
(あと、どうでもいいですが馬で突破していくのって日本の戦国モノにも通ずる感じがあるし、日本人にはけっこうウケる展開だなあ、とも思ったり)。
「リーダーが実戦経験ゼロ」や「12名vs5万人」も実話ならでは
他にも実話効果がでてたのは、実戦経験が無い大尉(クリス・ヘムズワース)が指揮を執っていた点や、たったの12人で5万人もの敵と戦いにいったって点も挙げられるかなと。どちらもフィクションだったら嘘くさくなる設定ですもんね(まあ、12人といっても空爆部隊が上空にいる分、だいぶ有利な気がしましたが…)。
なんにせよ、フィクションでは逆にやらないような”ありえない事”が現実では起きてるってことには驚きましたよ。
まとめ
戦争映画としては物足りなさを感じたり、アメリカがちょっと綺麗に描かれすぎてる気もしましたが、全体的にアクション性は高く、特にラストの馬突撃シーンはすごかったので、私としては面白い映画ではありました。
戦争映画ですから爆発シーン&銃撃シーンが多いため、音響がいい環境で見るとより楽しめると思います。
関連作品
『ホース・ソルジャー』
『ホース・ソルジャー』は字幕・吹き替え両方が観られます。時期にもよりますがAmazonプライム会員なら無料で観られます。
『ローン・サバイバー』
同じくアフガンが舞台の名作。少数人数の偵察部隊が敵に見つかってしまって急いで逃げる…という内容。『ホース・ソルジャー』と違ってアメリカ兵士がボロボロにされるけっこう珍しい展開の映画です。
『ハクソー・リッジ』
トラウマ級の強烈な戦場シーンがある名作。戦場シーンでは驚きすぎて劇場の席からケツがリアルに飛び上がったのを覚えてます。
『プライベート・ライアン』
こちらもトラウマ級の戦場シーンが特徴の戦争モノ。『ハクソー・リッジ』の戦場シーンの引き合いに出されることも多いです。あと、なぜかハリウッドで多い「マット・デイモンを助けに行くモノ」でもあります。
『ハートロッカー』
戦場で爆弾処理を務める主人公を描いた緊張感がすごい作品。キャスリン・ビグロー監督作。
『アメリカン・スナイパー』
アメリカで英雄的なスナイパーを描いた実話ベースの作品。クリント・イーストウッド監督作。
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