『池袋ウエストゲートパーク』 〜 ストリートを見れば世の中がわかるかも 〜

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直木賞作家 石田衣良のデビュー作 『池袋ウエストゲートパーク』

ドラマ版が爆発的人気を博したのでこの名前をご存知の方も多いはず。

でも今回はその原作小説のほうです。

『池袋ウエストゲートパーク』はシリーズ物でして2011年までにすでに10作だされております。そいてついに今月14日に3年半ぶりの新作『憎悪のパレード』が発売されました。

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この小説、舞台はすべて池袋です。

池袋のストリートにはギャング抗争援助交際薬物事件傷害事件などとにかくたくさんのトラブル転がっています(まあ池袋に限った事ではないですけどね…)。僕も何度か池袋に行ったことがありますが、そういう雰囲気はびんびん感じます。ただ新宿とかと違うのは、この池袋という土地は、東京の副都心にも関わらずどこかローカルな感じもあるんですね。なんていうか都会とローカルがいい具合に配合された街。都会特有の危険な雰囲気と昔ながらの人情、2つの要素が入り混じってる感じです。

 

主人公の果物屋のマコト(20代前半)はそんな池袋が好きです。そして、クラシック音楽とか本も好き。ファストファッション系が多いがお洒落にも気を使ってるし、たまにクラブで遊んでは踊ったりオールしたりもする。そのくせ新聞やらニュースやらで政治と経済の動向も見てたりする。そんな若者。

なんていうかバランスがとてもいい。

そんなマコトのもとへいかにも池袋臭のするトラブルを抱えた依頼人がやってくる・・・。だいぶ簡単にまとめるとそんな小説です。

 

肝心なことを言ってませんでしたが、この小説、めちゃめちゃ面白いです。

まずマコトが扱う事件(トラブル)がその時の社会を鮮明に映してます。「社会問題」みたいなそんな大きな事柄だけじゃなくて、多くの人があまり知らない様な、けど皆で考えていかなきゃいけない様なテーマ(ホームレス襲撃事件や知能発達障害やアジアからの出稼ぎ労働者問題、児童ポルノや風俗社会についてなど)をめちゃくちゃくエキサイティングに展開してくれます。普段、新聞やニュースを見ない人も、この小説を読んでから新聞の社会面を読んだりすると結構面白いかもしれません。

しかも文章がとてもスピーディーでリズミカル。

『池袋ウエストゲートパーク』シリーズは書評などでよく「スピード感溢れる文体」と言われますが、僕は最初読む前「それってどういう意味?!文が速いとかって意味分からん」って思ってました。でも読んでみるとわかります。「あ、こういうことか」って。なんていうか、あっという間に読めちゃうんですこの本。文章が読みやすくリズムが良くて、だけども内容の無い薄っぺらい感じじゃない。むしろ面白要素がしっかり詰まってる。

僕はなんかの用事で池袋に行くと必ずこの本を思い出して、毎回読みたくなります。

この小説はすでに4~5回は読み返してますが、オススメの読み方は「池袋のカフェで、街の見える席に座りながら読む」ですね。臨場感たっぷりで『池袋ウエストゲートパーク』の小説の世界と現実が少しずつリンクしていく様な体験を得られると思います(多分)。なんてたって、いかにも目の前に広がる街の中で起こってそうな話なんですから。絶対ページを捲る手が止まらないはず…。

ぜひ一度、ご賞味あれ。

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