『1917』〜体感型・伝令ムービー〜

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『1917』の好き度

思ってた感じと違って体感型ムービーでした。すごく面白かったです。

『1917』のあらすじ

1917年の西部戦線での出来事。撤退したと思われたドイツ軍が実は準備万端で待ち構えてることを知ったイギリス軍の後方部隊は、翌日に撤退したドイツ軍へ追い打ちをかける最前線の部隊へ「罠だから、突撃中止して!」と伝えるため2人の上等兵、ブレイクとスコフィールドを伝令に出す。

タイムリミットが迫る中、2人は命がけで敵地を横断。敵の攻撃を受けながら最前線の目的地まで進み続ける…

「ひたすら命がけで目的地まで向かう」というとてもシンプルな内容の映画です。

『1917』のスタッフ・キャスト

スタッフ

  • 監督:サム・メンデス
  • 製作:サム・メンデス、ピッパ・ハリス、ジェイン=アン・テングレン、カラム・マクドゥガル、ブライアン・オリバー
  • 脚本:サム・メンデス クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
  • 撮影:ロジャー・ディーキンス
  • 美術:デニス・ガスナー
  • 衣装:ジャクリーン・デュラン デビッド・クロスマン
  • 編集:リー・スミス
  • 音楽:トーマス・ニューマン

キャスト

  • スコフィールド上等兵:ジョージ・マッケイ
  • ブレイク上等兵:ディーン=チャールズ・チャップマン
  • スミス大尉:マーク・ストロング
  • レスリー中尉:アンドリュー・スコット
  • クレア・デュバーク
  • ブレイク中尉:リチャード・マッデン
  • エリンモア将軍:コリン・ファース
  • マッケンジー大佐:ベネディクト・カンバーバッチ

『1917』の感想

映画のタイプ

このページの画像はすべて:(C)2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

本作は、戦争の悲惨さ、残忍さ、戦争がどれほど地獄か、といったことはほぼ描かれておらず反戦映画の要素は少なめです。
また、軍隊への広報映画・勧誘映画的な作りでもなく、戦争をテーマにしているものの、メッセージ性よりもアトラクション性を重視したタイプの映画でした。

ワンカットについて

本作はカットのつなぎ目がわからない様にワンカット風に作られた作品で、劇中、カメラはまったく途切れずに彼らの背中を追いかけ続けます。
そのため主人公の1日を観客がまんま疑似体験できる作りになってます。

「コレぞ映画の醍醐味!ヾ(*´∀`*)ノ」と言えるような圧倒的な体感度の高さでした。

しかも、ワンカット映像って記録映像のようなリアルさがあるもんだから「まさにそこで起きていることを撮っています」みたいな生々しさ、臨場感がハンパない。

ちなみに私は(元来の怖がりの性格もありますが)、あまりに強い「その場にいる感」に序盤慣れることができず「敵がいそう…」「爆発しそう…」といった緊張感が高まるシーンでは心臓のドキドキがすごすぎて、耐えられず劇場から出ようかマジで迷ったくらいです(;´∀`)

主人公たちが敵の塹壕を探索中、塹壕に住みついたネズミがトラップ起動させちゃうシーンとかは本当に口から心臓が出るレベル

本作はつねに敵地を通ることによる「いつ攻撃されるかわからないという緊張感」と、カメラがノンストップで始まりから終わりまで主人公を追い続けることによる「没入度の高さ」が突出してるので、鑑賞後はクタクタになります。

話の構成について

「物語の構成」に話を振ると、始まりと終わりが同じシチュエーション(大きな木の下)で映画全体が輪になって繋がる構造になっています。

「主人公が、行って帰ってくるお話」という印象を観客に強く抱かせます。

「行って帰ってくる」というのは、超ベーシックな物語の型のひとつだと思うので、先述した「主人公の境遇を疑似体験できる」という点も含めて、本作は映画の本質をおさえた「きわめて映画的な映画」な気がしました。

ただ追いかけるだけじゃない。カメラワークの”多彩さ”も際立っていた

先述したように、ワンカット風なので基本は主人公たちをカメラがひたすら追いかけるわけですが、下手すると映像が単調になりがちですよね。でもカメラワークがかなり工夫されていて、全くそんなことはありませんでした。

各所で言われていることではありますが、サム・メンデスとタッグを組む撮影監督ロジャー・ディーキンスの手腕ということなのでしょう。

とくに印象に残ってるのはクライマックス、桜の舞う川を流される主人公が、なんとか陸地に上がり自軍エリアにたどり着いたシーン。

出撃前の歌を聞く兵士たちの輪に加わり放心状態で座る主人公の横からカメラがぐる〜とまわって、兵士たちの間をすり抜け真正面からまた主人公の顔まで近づいてくるシーンです。

そのカメラワーク、美しい歌声、主人公の虚無感、それらがとても印象に残るシーンでした。このシーンはカメラの移動距離がかなりあったように思いますが、おそらく画面の揺れ方から、手で持ってカメラを移動させてたのだと思います。

Youtubeのメイキング映像をみればわかりますが本作はカメラを手渡しで移動させるという手法がけっこう使われています。ワンカット風に作るというのはCG技術などをかなり駆使しているだろうに、カメラワークは意外と職人の手仕事!というのがまた面白いですね。

光の演出もすごかった!

そういえば、カメラワークもですが後半の廃墟が立ち並ぶ街にたどり着いた時の光と影の演出も素晴らしかったです。敵に追いかけられ逃げまくるシーンなので街の雰囲気に浸る余裕はないのですが、とても幻想的な感じ…。

クライマックスはグッとくる

話はシンプルですが、クライマックスの塹壕を這い上がり砲弾飛び交う芝生を主人公がダッシュするシーンは、やはりグッとくるものがあります。

これまでの主人公の苦労を知ってるからこそ「決死のダッシュにグッときてしまう…」ってのももちろんですが、もともと「人が全力疾走する姿はエモーショナル」なんですよね。
このシーンに行き着くまでのストーリーよりも、主人公のその必死さにに泣かされた気がします。

まとめ

意外にも「戦争のリアル」を訴えるタイプの映画ではなく、ライド感が強い体感型ムービーの傑作でした。これは絶対に劇場で観た方が良いタイプの映画だと思います。

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