Netflixで配信中『ペイチェック 消された記憶』
今回取り上げるのは、Netflixで配信中の近未来を舞台にしたSFアクション『ペイチェック 消された記憶』。(2021年5月7日時点)
日本では2004年公開の作品です。
原作はブレードランナーの原作(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』)でも有名なフィリップ・K・ディックの『報酬』。
監督は『男たちの挽歌』や『ミッション:イン・ポッシブル2』など、アクションに定評のある香港の映画監督(脚本家・プロデューサー)のジョン・ウー。
主演はDC作品のバットマン役を務めているベン・アフレック。
アイキャッチ画像 写真:AFLOより
『ペイチェック 消された記憶』のあらすじ
舞台は近未来。超優秀なフリーのエンジニアである主人公マイケル(ベン・アフレック)は、プロジェクトを終えたらその期間の記憶を消されるという契約で、企業から最先端の開発を依頼されていた。
ある日、マイケルは大企業オールコム社から3年という長期案件のプロジェクトを依頼される。開発を終えたら3年という長期間の記憶が消されてしまう事に悩むも、マイケルは案件を受けることに。
ところが、プロジェクトを終え記憶が消されたマイケルは、報酬(ペイチェック)を受け取りにいくも、開発期間の3年の間に自分自身で報酬の受け取りを放棄して、代わりにタバコやら硬貨やらガラクタを受け取る手続きをしていた事を知る。
「なんで報酬を放棄してるんだ!」とテンパってると、急に武装とした集団が自分の命を狙いだして、逃げるマイケル。
どうやら自分が開発したものは未来が見える最先端の機械で、その機械が発端で世界が滅亡しちゃうことに気づいた開発中(3年のあいだ)の自分が、開発を終えた今(現在)の自分に対してガラクタを使ってメッセージを残していたという事に気づきます。
マイケルはそれらを駆使して、未来が見えちゃう危険な機械をぶっ壊しにかかるが・・・みたいな映画です。
あらすじが下手すぎて超つまんない映画に思えるな( ゚Д゚)ホントハオモシロイヨ
『ペイチェック 消された記憶』の感想
良かったところ
話運びがスムーズ
ストーリーの前提条件を説明する手際がよく、サクサクと話に入っていけたと思います。
SFやファンタジーなどは、その作品世界での独自の設定を話の序盤に伝える必要があります。
本作だと「エンジニアであるマイケルは開発案件を終えると、守秘義務の都合で開発中の記憶を消される」というのがその前提条件ですが、これが序盤に、自然に説明されています。
冒頭、マイケルは2か月程度で終わる3Dモニターの開発をしていますが、それが終わるタイミングで、研究所の女性スタッフがマイケルに「私との思い出も消えるのね」的なことを言い、マイケルは2か月分の記憶が消されていきます。
このシーンは、この世界では守秘義務として「開発中の記憶を消すのね」ということと、「好きな人との思い出が消えてしまうのって、せつないね」という、この後の展開に繋がるテーマをうまく描いています。
またそれだけでなく、主人公マイケルの腕が非常によく優秀なエンジニアであることも自然にわかるようになっています。
話の展開が早い
コトが起こるのが早いのもよかったです。オールコム社の「未来を見える機械を作る」案件を受注して、それらの開発シーンなどは全部すっとばして、いきなり3年経過。そこからの急展開で話が進んでいきます。全体的に話運びがスムーズでサクサク進んでいく感じ。
微妙だったところ
アクションがちょっと微妙
クライマックス直前にあるバイクチェイスシーンはちょっと微妙に感じました。
完全に話の進行が中断され、派手なチェイスシーンを見せるためのチェイスシーンだったように思えます。迫力はありましたが。
それ以外のアクションシーン、特に格闘シーンはカット割りが多くて、もう少し一連の流れで本格的なものが見たいなあ(ジョン・ウー作品だし)、という気もしましたが本作はあくまでSF作品。アクション要素はこれでもだいぶしっかり盛り込まれている方かもしれません。
未来感がやや少ない
記憶を消すシーンや、未来が見える機械、オールコム社のラボとかは、近未来っぽい描写で面白かったですが、意外とそれ以外は普通に現代って感じなんですよね。
カフェとか、車とかバイクとか全然未来感がなかったです。この辺はもう少し凝ってもよかったのでは・・・という気もしました。でも、「いや、舞台はそこまで未来じゃないの、あくまで”近未来”なのよ」と言われれば納得できる感じなので、それくらいのマインドで見るとちょうどいいかもしれません。
総評
私はSFとかファンタジーはけっこう苦手ジャンルなのですが、そんな私でも飽きなかったので、それ系が好きな人はかなり楽しめるんじゃないでしょうか。
話運びがスムーズでストレスが少なく、またストーリー自体も「この後どうなる?」「なぜ主人公マイケルは報酬を放棄してガラクタを用意した?」など、どんどん先が気になる展開になってるので興味がずっと続くし、飽きずに見られた作品でした。
ちなみに、ジョン・ウー監督作品といえば、「鳩」がでてくることで有名ですが本作にもしっかり出てました(笑)
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