桐島、部活やめるってよ

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『桐島、部活やめるってよ』

 

初めてこの映画を観たのは、DVDでなく映画館で。キャストの山本美月も東出昌大もまだ今ほど有名になってない時でした。

僕は映画館でこれを観ているとき、桐島の登場を今か今かと待っていました。しかし、(ややネタバレですが)桐島は本編には出てこない。その時の僕の映画を観た感想は「なぜ出てこないんだ桐島!」くらいでした。

正直、きっとなんか深いことを言ってる映画なんだろうけど、よくわからなかった。そしてそれを理解できない自分は感受性とか深みのない人間なのか?と思いました。

そして月日は流れ、先日TSUTAYAに行ったときに『桐島、部活やめるってよ』のDVDがあったので、再度借りてみてました。今ならどう思うだろう、今ならなにか感じるものがあるかもしれない、と思って。

 

久しぶりに観た『桐島、部活やめるってよ』は全く印象が異なるものでした。

この感じ、なんで一回目観たときはわからなかったのだろう。

 

スクールカーストという言葉が流行りだしたのがいつからかは知らないですが、会社や学校、もっと具体的にいえば、会社だと部署・部署の中の小さなチーム、学校だとクラス・部活、それ以外だとバイトとか、どんなに集団にも必ずカースト(ヒエラルキー)が存在します。人は比較し合い他者よりも上に行く事に価値を見出してる生き物だと思うから、その手段のひとつとしてヒエラルキー、カースト文化があるのかもしれないですね。

で、やっぱりカースト文化が一番顕著なのは「学校」だと思います(だから「スクールカースト」って言葉がこんなにも身近になったんだと思うし…)。

 

スクールカースト。学校のクラス内には、たくさんの種類の人間がいます。ヒエラルキーの最上層にいる者、そこにいない者。その中でもヒエラルキーを気にして上へ昇ろうとする者、ヒエラルキーにうんざりしている者、諦めを抱いている者、ヒエラルキーの存在を知らない者、存在を知っていても気にかけない者、ヒエラルキーを壊そうとする者。

そして自分がヒエラルキーのどの層に分類されるかは、モテ非モテとか、リア充非リア充とか、文化部運動部とか、そういった要素を用いて「かなりイケてる・ふつう・イケてない」などにクラス分けされる。でも、モテ=イケてる人間、非モテ=イケてない人間 とかってのは、世間で勝手に作られた基準ですよね。

そして、その世間で勝手に作られた「イケてる」の基準を知ってても、自分にとっての「イケてる」と食い違った場合(つまり、自分にとっての「イケてる」ことが、世間が勝手に作った基準ではイケてなかった場合)、自分にとっての「イケてる」方を貫いていくのは中々しんどい。だったら、世間が作った「イケてる」基準の方に合わせて生きていく方が楽だしある程度の地位を確立できる。だから大半の人間はスクールカースト文化(クラス内ヒエラルキー)に対して従順なんだろうなと思いました(やっぱり学校のクラスって、完全に、世の中の縮図だ!)。

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この映画『桐島、部活やめるってよ』は明確な主人公はいなく、強いて言うなら神木隆之介演じる映画部の主将がそうなんですが、彼は、そのヒエラルキーで言えば、下層の者です。で、上層にいる者からは笑われます。でも、なんていうか、そんなヒエラルキーの上層(だと思ってる)の人間が神木君演じる映画部主将を笑うとき、むしろ僕には、その上層の人の方が哀れに見えました。

なぜなら、決して強気にではないですが、でも誰かが決めた「イケてる」の基準なんて関係ござらん、と言わんばかりに、映画部主将の神木君は自分たちのやりたい事を貫いてるからです。

ヒエラルキー上層の連中は、そうした「強い“個”」を犠牲にすることによって自分たちの今の強い立場を確立してる(そもそも強い“個”が無いのかもしれないですが)、そして自分達のそんな一面に空しさ的なものを感じている者もいる。

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だからヒエラルキー上層にいたとしてもその中の一部の人間は、神木くん演じる映画部主将達に一種の憧れ、尊敬の念を持っている。それがラストの東出昌大のセリフに集約されていると思いました。

ええっと・・・すみません、映画観てない人には何がなんだかわからない内容になっちゃいましたが、なにが言いたいかって言うと、本編を終えたとき、僕は「ヒエラルキーとかカースト文化なんてくそくらえ!」って気分になり、そしたらこの映画のエンディング曲、高橋優の『陽はまた昇る』が流れ「選ばれし才能もお金や地位や名誉も、持っていたっていなくたっておんなじ空の下」という歌詞に救われました!笑

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かなり面白い映画!

 

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