半沢直樹シリーズの新作『銀翼のイカロス』。
今月発売されたばかりのぴかぴかの新作だ。
今回、半沢の所属する東京中央銀行の取引先は航空会社。この航空会社は国からの支援を受けまくりの設定で、昔、現実に経営破綻した航空会社を彷彿とさせる。
今作でも、半沢直樹は相変わらずの論客ぶりを発揮しており、読んでいてついつい唸ってしまう。
やはり半沢シリーズの面白いところは、この口を使った戦いがその一つとしてあげられるだろう。出てくるキャラ皆、口が回ること!
その中でも主人公の半沢は突出している。そして、ただ口が回るだけでなく、理論の構成力もスゴいときている。
半沢シリーズは銀行が舞台だが、現実と同様、作中でも銀行は過去に大規模な合併を行っている設定だ。
ここで面白いのが合併による銀行内の対立である。
半沢のいる東京中央銀行でも、なにをやるにも「どこ出身だ」「どこ所属だ」という事柄が常についてまわる。
本を読んでいると派閥やグループ間の壁を取り除くことがいかに難しいかがよくわかる。
半沢もそれら銀行の負の側面を感じてはいるが、それでも銀行のあるべき姿、なすべき役割を強く意識し壁を超えていく。
前作『ロスジェネの逆襲』では半沢がやや落ち着いた感があったが、それはどうやら誤解であり、今作では半沢らしさの勢いが増している。
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