建設業、飲食業、旅行業、化粧品業、金融業、数ある業界で行われるリストラクチャリング(再構築)。
経営陣の刷新、不採算事業の売却、そして、従業員の首切り。
この小説は、再建中の企業から「首切り」業務を受託する会社で働いている主人公の物語。
首切り代行という仕事から、主人公が「働く」ということ、「生きる」ということを考える。
なんのために働くか。
飯のため、金のため、やりがいのため。様々な理由はあるけれど、それぞれ微妙に異なるはず。
自分はなんのために働いているのか、仕事にどんな意味を感じているのか。
おそらく、考えてみても、すぐには答えはでない。
でも、この本を読むと、そうした、自らと向き合うことの大切を教えてくれる。
本の構成は、様々な業界の企業からリストラ業務を受託した主人公が、リストラ面接を行っていくオムニバス形式。
出てくる企業も多種多様。銀行に英会話教室に航空会社…。
それぞれの企業のビジネスモデルや現在の市場環境などがとても細かく描写されており、読んでいてとても勉強にもなります。
それだけでなく、恋愛要素もあって、思わず涙がこぼれる様な話もあって、エンターテイメントとしてもとても面白い作品です。
会社を辞める、それは世間からはネガティブに見られることもある。
けれども、世間や第三者の目なんて、実は本当の意味では関係ない。
自らが納得できる選択、生き方、それを見つけて生きる。それが正解なんじゃないかと、この本を読んで思いました。
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