『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』 〜油断して観たら面食らうぞ!!〜

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今週は、いろいろな場所で大絶賛されている映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』です。

周りで「すごいいい!」「超泣ける!」「どの映画よりも優先して観るべし!」といった声が聞こえていたので近いうちに…と思ってはいたのですが、なかなか時間をとれず、この度やっと観れました。(余談ですが、実は今回TSUTAYAでオトナ帝国を2度借りてまして。一度目にTSUTAYAで借りた時はレンタル期間を”当日”にしたけど、まさかの急用が入って観れずに返すという失態をおかしました・・・。レンタルした作品を見れずにカウンターに返すときのあの悔しさはなかなかのもの・・・。まあ、延滞した時の「おれってダメ人間感」よりは幾分マシでしたが。余談終わり)

本作はちびっ子向けアニメ「クレしん」だからといって、決してナメてはいけません。
尺は1時間30分足らずですが言いたいことをしっかり伝えてくる、非常に面白い作品でした!

細部に関して気になる点(「懐かしさに囚われてしまうあの”匂い”についても少し説明欲しい」とか、「あの”街”はどこにあるの?地下?」とか)が無いわけでは無いですが、ちびっ子向けアニメであるという点や、尺が短いという点も勘案すると突っ込む程のことでもないです。一番言いたいテーマを語る上で必ず必要な情報ってほどでも無いし。

物語を超ざっくり言うと、
大人が昔の遊びをできたり、憧れてたアニメのキャラになれたりする大人のための博覧会(というかテーマパークに近い)「20世紀博」なるものが各地で開催されるようになります。
アクション仮面大好きなしんのすけの親だけに、父ひろし、母みさえも20世紀博でキャラコスプレなどにハマるハマる。
しかし20世紀博はただ楽しいだけの施設ではなかった。20世紀博の運営側である「イエスタデイ・ワンスモア」(この命名もナイス。いかにもクレしん感がある)にはある狙いがあったのだ。

それは、大人たちに強い懐古心を呼び起こし童心に帰らせてしまう特殊な力を持った”匂い”をかがせ、大人たちに今を否定し未来を放棄させることで、古き良き”昭和な世界”をもう一度築きあげようというもの。(ここでいう”昭和な世界”とはよく懐古主義的に語られる「あの頃はよかった…」な”昭和像”です)。
そして、昭和っていいよね!なマインドが無い「子どもたち」に関しては洗脳教育をしてしまおうと目論んでいました。
そこに、お馴染みのしんのすけ、風間君、ねねちゃん、マサオくん、ぼーちゃんで結成される春日部防衛隊と、途中から”匂い”の呪縛が解けた、ひろし・みさえ達が立ち向かっていくというストーリーです。

この映画が名作と言われる所以はいくつかあると思いました。

まず、テーマは深いし真面目なのに、要所要所にちゃんとギャグが入ってること!しかもちゃんとクレしんぽいギャグになってるんですね。これの効果は大きく3つあると思いまして1つ目は「あ、なんか色々考えさせられてたけど、クレしん観てるんだ。もっと気楽に観よっと」って少し心が安らぐ、観ていて疲れないこと。
2つ目は「うわ・・・”マジ”なこと言ってる」ってシーンも、次のシーンでケツ出してたりするから臭く感じない。
そして3つ目、ここはとっても重要ですけど、単純にギャグが面白くて笑える。
ってことです。

ギャグの点以外でも名作たる所以と思うのは、やっぱり、父ひろしの回想シーンでしょう。
このシーンは「振り返る」という行為の持つ感動性と、これまでの人生で作り上げてきた今を大事にしよう、そして未来を作り続けて行こう!という強い思いを感じさせます。文句なしの名シーンでした。。。

このシーンもその一つと言えますが、イエスタデイ・ワンスモアの懐古主義に対する野原一家の答え(行動)=物語としての結論、これこそがこの映画が名作と言われる所以だと思います!

イエスタデイ・ワンスモア達の「昭和の頃はよかった!」的な意見は、結構世の中で言われることですよね。

「昔は隣の人が困ってたら、当たり前の様に助けてあげたし、皆が互いを思いやっていたもんだ」
「人と人の距離が近くていい時代だった」
「今みたいにせわしなく生きてなくて、世の中がのんびりしていて生きやすい時代だった」
こんなことはよく言われるし、実際ALWAYS三丁目の夕日とかを観ると、ついついこう思いがちです。
たしかに、昭和の時代の一面として、そういう古き良き暖かな時間は流れていたんでしょう。
ただ、あくまでも昭和という時代の全部が全部、みんながみんな、世間でよく言われるそうだったわけではないはず。
親の教育、家庭環境、学校の環境、経済状況など個人レベルの違いよっても世界の見え方は違っただろうし、昭和のどの時期を切り取るかによっても見える顔はまったく違うはず。
(戦後まもない頃と高度経済成長まっただ中の頃では雰囲気がガラッと変わると思うし。)
だから、昭和というだけであの頃は良かった、みたいな理論には首を捻らざる得ないです。
しかし、これまでの人生を振り返り、懐かしみ、大切にする(”美化”とはまた違ったもの)こと自体は悪いとは思いません。むしろ必要なことだと思います。
現にこの映画も、昭和(過去)を思い起こすことそれ自体を否定してはいませんし、実際に過去がいい時代だったという一面も否定してはいません。ただ、だからといって今と未来から目を逸らし放棄してしまうことに、警鐘を鳴らしてるんです(多分)。どんなに過去を懐かしんでも、僕らの生きる世界はまさにこの”今”と、その今の積み重ねで出来上がる”未来”しかないから!

しんのすけら子供たちには、イエスタデイ・ワンスモアの作り出した”匂い”が効きません。懐古するほどの過去がまだ無いからです。彼らには今と未来しかないんです。そして、実は、私たち大人にとっても世界は今と未来しかないはずです。

いつも通りとっちらかった文になりましたが、この映画、面白かった!!

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