映画『テラスハウス クロージング・ドア』を観てきました。
まずは『テラスハウス』のご紹介から。
元々は毎週金曜23時~23時30分に放送されていたフジテレビ系のバラエティー番組です。
途中、放送枠が月曜23時~23時30分という、ラブワゴンで有名な『あいのり』枠に移り視聴率も上昇。
恋愛ドキュメンタリーとして確固たる地位を築きました。
番組の内容は、
海沿いのテラスハウス( 海の見えるかなりおしゃれな一軒家)で
10代~30代前半くらいの若者達7、8人が共同生活する様を、エフェクトを効かせたおしゃれ風な映像で見せていくといったもの。
しかも、台本が用意されていない〝リアリティーショー〟形式となっていて、ハウスに住むメンバーも有名芸能人ではなく、基本的には一般人または芸能人の卵的な人たちで構成されています。
(例外的にAKBの北原里英などがメンバーとしていましたが)。
複数の男女が実際に生活している様子を映すため、
生活感のある生々しい描写も多く(男女の寝巻き姿、すっぴん寝起き姿など)、また脚本なしという設定から生まれる意外な展開が特に若い女性の支持を得ました。
…、一応これがテラスハウスのざっくりした概要となります。
私はテラスハウスがどういう番組かは知っていましたが、毎週やっていたテレビ放送は観ておらず、今回の映画版の事前情報としては夜中にやっていた総集編をたまたま見たくらいのものでした。
また、今回の映画版も姉が観たいから付き添いで行く形でしたのでぶっちゃけ関心は薄い方でした。
というか、正直に言ってしまうと「テラスハウス」という作品を「フジテレビと広告代理店がスウィーツ女子に狙いを定めて作った作品」くらいに思っていて(あながち外れていない気がしますが)、悪く言えば馬鹿にしてナメていました。
実際に映画が始まっても「出てくる人みんな気取っててイタイなあ」とか「ヤラせ感プンプンするなあ」などと心のなかで悪態をついていましたし、なんというか「苦笑感」を持って観ていました。
しかし、途中であることに気づきます。
それは、物語が進むにつれ先の展開を気にしている自分がいることです。
あれ?!いつの間にか、この映画を十分楽しんでいる気がする…
あんなに馬鹿にしていたのに…。
ここから私の中で激しい葛藤が始まります。
はじめは馬鹿にしていたのに、いつの間にか映画の中の登場人物の言動にウケていたり、心のなかで「うわぁ、この人ビッチだ~~!」とかツッコんでいたり、「結局どっちとくっつくの?!」と恋愛模様を気にし始めたりと、完全に映画にのめり込んでいたのです。
始めはその事実が受け入れ難く、なんとか否定しようと
「そもそも人間は恋愛というものに本能的に興味があって、自分は決して、このテラスハウスという作品自体に興味が湧いている訳ではない!」などと心のなかで屁理屈を並べていましたが、次第にどんなに言葉を並べても、自分がテラスハウスへどっぷり浸かっていることを否定できないと悟り、逆にこの状態を認める様になっていきました。
「自分が今、この映画に夢中になっているのは事実だ…」
そして、この映画に対してどう向き合うべきかを映画の最中に考え始めました。
そもそも、「こういう奴らイタいわ~」とか「ヤラせ臭するわ~」などと言って「私はイタイってわかってこの映画を観に来てるから」と言い訳をしながらこの映画を観るのは野暮ではないか?
心の中でこの映画を馬鹿にし、いろんな言い訳を用意したところで、今この映画を観ている時点で、私は、私自身が「イタいと評していた人」の一人。だったらそれに気づかずテラスハウスという作品や登場人物を「イタいわ~」などと思っている方が「イタい」んじゃないか?
この映画を観る上でもっとも正しい作法は
「全力でこの恋愛模様に興味津々になること」
それしかないのだ!!
などと映画を観ながらひとり熱く考え始め、
終いには「何と言われようが、こいつらの恋愛模様が気になる!!」
「ヤラせでも、ガチでも、結局私にとってスクリーン越しに見えるこの情景こそが真実!!」
とオーバーヒートする始末。
いやはや、ある意味いろいろ考えさせてくれる作品です…。
今回はテレビから引き続きでているメンバーに加え、映画だけの新メンバーとして
・証券会社勤務でグラビアアイドルの小悪魔女子(もはや悪魔の域)
・思ったことをすぐ口に出すいまどきハタチ女子
・上智出身&出版社勤務のちょいポチャエリート男子
・バスケ選手志望の最年少19歳男子
が出てきます。これら新メンバーのキャラが非常に立っており、バランスが良かったところもこの映画のポイントの一つ。
また、出版社勤務のちょいポチャ男子が「過去のテラスハウス登場人物に会ってインタビューをし、テラスハウスのこれまでを振り返る本を出したい」という野望を引っさげて仲間入りしてくるのですが、この設定のおかげで過去のテラスハウス登場人物がたくさん出てきます。これは、テレビシリーズを見ていたファンにとっては嬉しいですよね。(まあ、この設定のおかげでシナリオ臭が激増しますが、もはや制作側も割り切ってのことでしょう)
ただ、登場人物を語る上でこの映画のヒロインと言ってもいい、テラスハウス史上最強の小悪魔と称される証券会社勤務のグラビアアイドルの子は外せません(絶対に)。
この子のことを好きでも嫌いでも、この子のビッチな振る舞いがあってこそ、今回の作品の盛り上がりがあったからです。
映画全体の長さが2時間を超え少し長く感じる点や、ラストの展開があまりにもシナリオ臭いなど、気になる点はありますが、やはり(ヤラせだろうが)人の恋愛模様を覗き見るのは面白いもので、とても楽しめる作品となっていました。
観終わったら、恥ずかしながら”テラハ―”の仲間入りをしていた…なんて人も多いのでは。
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